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井伊直虎の生涯をまとめてみた――大河ドラマ『おんな城主 直虎』を歴史研究家が解説

井伊直虎

井伊谷城

 井伊直虎は、戦国時代ど真ん中の1535年頃、遠江国の井伊谷(現在の静岡県浜松市)で生まれた。  父は、井伊家22代宗主の井伊直盛で、地元の国衆(小領主)。母は、新野親矩の妹だった。新野家は今川家一族の出身で、桶狭間の戦いで織田信長に討たれたあの今川義元の親戚に連なるワケだ。  となると、『井伊家と今川家は結びつきが強かったのか?』  そんな疑問が湧いてくると思うが、意外とコトは単純。  今川家の拠点(駿河国)は、直虎の地元・遠江のスグ隣だったので、井伊一族は常に、その強い影響を受けて戦国の世を生き抜いていくワケなのだ。  ときには味方、ときには敵。  そんな風に今川家をはじめ、武田家や徳川家など、名だたる大名たちと関わり合いながら、最終的に井伊家は直政が跡を継ぎ、徳川家康のもとで大出世を遂げることとなった。  では井伊直虎は?  もちろん井伊家にとって彼女は欠かせない。井伊直政が徳川家康に仕えることになったのも、彼女の存在があったからこそ。  言わば井伊家をあげて直政をバックアップし、その直政も井伊の赤鬼として期待に応え、江戸時代には彦根30万石の大名となるワケで、おそらくや大河ドラマでもそこが終盤の見所になると思われる。  そこで本稿ではドラマで想定される象徴的なシーンを取り上げつつ、直虎の生涯をまとめてみたいと思う。  まずは30秒でわかる【直虎7つのポイント】から確認する。 <おんな城主・井伊直虎のポイント!> ◆直虎の実家・井伊家は、静岡県浜松を本拠とした国衆(小領主のこと)だった ◆直虎は、22代当主・井伊直盛(杉本哲太さん)の娘 ◆親戚でイケメンな井伊直親(三浦春馬さん)と直虎は婚約していた ◆井伊家の男性が次々に死に、直親は今川家に命を狙われて逃亡(婚約は消滅) ◆帰国した直親は別の女性・ひよ(貫地谷しほりさん)と結婚する ◆直親&ひよの間に生まれた井伊直政(後の徳川四天王)の面倒を見たのが、おんな城主・直虎 ◆井伊直政は徳川家康のもとで大出世! 後に彦根藩の藩祖となる。安政の大獄や桜田門外の変で知られる井伊直弼はその子孫
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井伊家は1000年超の歴史 最初の600年は浜松で
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