縄文人は貝ばかり食べてノロウイルスに感染しなかったの?
― まり先生の歴史診察室 ― 忍者とメガネをこよなく愛する歴女内科医・馬渕まりが、偉人たちを歴史的状況から診察し医学に基づいてまじめに論じる! ●今回のテーマは「縄文人とノロウイルス」 こんにちは! 寒いと布団から出てこない馬ちゃん先生です。最強寒波が日本全土を覆う、なんてニュースでてんやわんやですが、こんな日は鍋を食べたくなりますよね~。冬の食材『牡蠣』の土手鍋なんて、考えただけで止まらない!! てなことを妄想していたら担当編集からこんな疑問を投げかけられました。 「縄文時代の人たちって、貝を食ってて腹を壊したりしなかったんすかね? 以前、牡蠣に当たったとき、ものすごく辛い思いをしたんすよ~」 正直、これを提案されたとき、『思いつきで無理難題をふっかけるのってどんな気持ち? ねぇどんな気持ち?』と詰め寄りたくなりました。が、果敢にもチャレンジしてみたいと思います!まず貝による食中毒を考える時に重要なのが『貝毒』。そして牡蠣の場合にキーワードとなるのが『ノロウイルス』です。 今回はまず、貝毒とは何ぞや?から説明いたしましょう。 貝毒とは、有毒性のプランクトンを貝(主に二枚貝)が餌として食べることによって蓄積し、これを食べた人が食中毒を起こすことを指します。貝そのものが毒を作ってる訳ではありません。そして、貝の食中毒としては全体の10%以下と件数は多くありません。 貝毒の種類としては下痢毒、麻痺毒、神経毒がありまして、日本では神経毒の報告はありません。が、熱で分解されにくいため、しっかり過熱をしても中毒が起きてしまうのが特徴です。 麻痺毒はフグ中毒と似た症状をおこし、最悪の場合は呼吸筋麻痺を起こして死に至ります。1973年にカナダのブリティッシュコロンビアに上陸した一行が麻痺性貝毒にやられた記録が残っておりますが、ここの原住民には発光プランクトンが増える夏は貝を食べることが古来よりのタブーとなっていたそうなので昔からあったのでしょう。 しかし、現代ほど赤潮(洗剤のリン成分などによる富栄養化が原因でプランクトンが異常増殖)が起こらなかったため、私としては『縄文時代の貝食中毒は少なかったのでは?』と考えております。 ちなみに、日本で市販されている貝は事前にチェックされていますので、心配せずに食べて下さい。貝の食中毒は『貝毒』と『ノロウイルス』
『戦国診察室 お館様も忍びの衆も歴女医が診てあげる♪』 現代医学の観点から、戦国時代の武将の生活習慣や医療環境などを見つめなおしたショートエッセイ集 |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ