「LINEアプリだけの虚業が高く評価されるのか?」藤沢数希氏

先日、「LINEが11月にも上場する」と報じられ、大きな話題となった。上場が実現すれば今年最大規模のIPOとなる見通しで、時価総額は1兆円以上になるとみられている。LINEの親会社は韓国のネット大手NAVERで、ライブドアを買収した経緯がある。 ◆LINEが11月にも上場か?今年度最大のIPOになる見通し。ライブドア事件を思い出そう【後編】(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏) ⇒【前編】はコチラ
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「LINE」公式サイトより

 ライブドアは’06年1月、証券取引法違反容疑で、当時のCEOだった堀江貴文氏らが東京地検特捜部の強制捜査の末に逮捕された。一時は1兆円に迫る勢いだったライブドア株は、会社が保有している現金などの資産価値の3分の1程度にまで株価が暴落した。外資系の証券会社や海外のヘッジファンドが保有資産の価値よりも大幅に安くなっていたライブドア株を大量に買い占め、その後、持っていた資産を配当として株主に支払わせることにより、莫大な利益を上げた。こうしたハゲタカファンドが、ライブドアが保有していた資産を配当で搾り取ったあとにライブドア株を売却した先が、韓国のNAVERだったのだ。  当時は「虚業」で儲ける堀江貴文氏のような人物はけしからん、というような世論がつくられていた。しかし、そのライブドアが韓国資本に二束三文で買い叩かれて、こうしてまた陽の目を見る機会を得たのは大変面白い。そして時価総額も、ライブドアが届こうとしていた1兆円を超えてくるかもしれない。1兆円といえば、日本のNECや関西電力より上で、ソニーの約1兆7000億円にも劣らない規模だ。LINEアプリだけの「虚業」も、ずいぶんと高く評価されるものだ。韓国資本のNAVERも大儲けだろう。 【今週の数字】 LINE株式会社の時価総額予想 1兆円以上 LINEの時価総額は1兆円以上になると予想されている。今では多くの人が、電話や電子メール以上にLINEでコミュニケーションしており、通信インフラになっている 【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人を超える。最新刊『外資系金融の終わり』が発売中
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
外資系金融の終わり

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