更新日:2014年08月18日 10:02
恋愛・結婚

「家事ハラ」炎上に悩める夫たちがモノ申す

 今、旭化成ホームズの「共働き家族研究所」が行った「妻の家事ハラ白書」という調査が女性を中心に炎上している。同調査によれば、「家事ハラ」とは“‘家事に対する何気ないダメ出し”をさし(※注)、家事ハラを受けたことがある夫は約7割だという。  その内容として、 (食器洗い)「お皿洗ってくれてありがとう。一応もう一度洗っておくね」 (掃除)「早く終わったのね。ちゃんとやってくれた?」 (洗濯たたみ)「あなたがたたむと、ヘンな跡がつくの」  など妻の何気ないひと言に傷つく夫たちを動画で紹介している。同社は共働きが増える昨今、家の中でも協力し合える家庭を、と始めた広告なのだが、これに共働き家庭の女性たちが激怒した。彼女たちの主な怒りポイントは、以下のとおりだ。 「そもそも共働きなのに、家事を“手伝う”という感覚がおかしい。だから、こういった調査になる」 「いちいち言われたからと言って、子どもみたいに落ち込む夫が悪い。落ち込むのは家事を舐めているからでしょ」 「フルタイムでお互い働いているんだから、家事分担は当然。むしろ、不平等にもかかわらず、文句を言われたらスネて、ハラスメントなんてあり得ない」 家事ハラ 手伝わなきゃ怒る、手伝えば文句を言う、それに傷ついたとこぼせばますますぶちキレる……。女性たちの怒りは燃え上がる一方だが、これに対し、日頃粛々と家事・育児をこなす男性たちに、率直な意見を聞いてみた。 「家事・育児について、こちらが意見を言うと『私ばっかり……』と傷つき、泣かれる。そのくせ、こちらの家事・育児については注文が多い。ズルいですよね。それを『家事ハラ』なんて言ったらヒステリックに騒ぎ出されて面倒くさいことになるだけなので、黙って我慢するのが一番ですよ。まったく、寝た子を起こすような余計な調査をしてくれましたよね(苦笑)」(結婚歴5年・34歳) 「収入が自分よりも低い以上、いくら共働きといっても、家事・育児に対して“手伝う”って感覚を持っちゃうのは仕方ないですよね。こっちは家庭を円満にしたいから、分担しているのに、そんな完璧を求められてキツい言葉を言われたら、誰だって落ち込むでしょ。“じゃあ、全部やれよ”ってなるのは当たり前ですよ」(結婚歴8年・41歳) 「家事の分担を言い出す女性は、よく家事の人件費を言うけど、じゃあ稼いでくる給料はどっちが多いのか。自分は、それを家庭では絶対に言わないが、『家事やれ』『子育てやれ』、しまいには『私の家事・育児の人件費を換算したら……』みたいに、どこぞの教授が言ってそうな論法を展開してこられたら、ビックリですよ。女性の社会進出が進んだことで、逆に女性側は必要以上に“被害者意識”“不平等意識”が強まっているのかもしれませんね。嫁とケンカしていると、そう思えてきます。でも、悪いのは社会の仕組みであって、俺のせいじゃない。夫に当たるのはやめてほしい」(結婚歴9年・37歳)  共働き家庭が増加し、男性の年収が下がる一方の日本社会において、家事・育児参加に対する男性の意識は徐々にではあるが高まっている。だが、女性が求める意識には及ばす、そこにトラブルの種が潜んでいるのだろう。  しかし、完璧を求め合ったら、すぐに家庭は崩壊してしまう。家事・育児を分担しない男は問題外として、今回の「家事ハラ炎上」は、現代の夫婦の在り方を象徴した問題。女性に下手に反旗を翻さず、黙っているのが賢い夫なのかもしれない。 ※注:そもそも「家事ハラ」を最初に提唱した和光大学教授・竹信三恵子氏による本来の定義は異なる。竹信氏は「家事育児介護などの家庭責任が不当に過小評価されており、こうした責任を主に女性が担っているにも関わらず、その責任や負担があたかも『ないもの』のように扱われる問題」としており、本調査がさす「妻から受ける家事のダメ出し」とは異なる。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの

終わりなき「見えない労働」を担う人々が、社会から不当に締め出されている実態に光をあて、困難から抜け出す道をさぐる

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