石井一久「今後の人生に『182勝した投手』なんて役に立たない」
ノーヒットノーラン直前で降板を申し出たり、FAに際して「新しい友達をつくりたい」と言ってみたり、その言動と行動で球界を“揺るがし”てきた男が第二の人生に選んだのはサラリーマンだった。石井一久の独特な人生観に迫る。
――昨年の引退セレモニーではセグウェイで球場を回ったことに驚かされましたが、22年もの間プロとしてプレーしながら、引退会見では涙もなく、清々しいものでした。通常は涙を誘うものですが、むしろ笑いに包まれましたね。本意でしたか?
石井:現役生活には未練はなくて、それより次のステップに向けての楽しみのほうが大きかったんです。僕は過去のことにあまり興味はなくて、これから起きることのほうが気になる。今後の人生に「182勝した投手」なんて役に立たないですからね。
――プロでやり切ったというよりも、40歳という数字の区切りが、次に進むキッカケになったとのことですが。
石井:人生ってやり切って死ねる人ってほぼいないと思うんです。だったら、ある程度で見切りをつけて次に踏み出すのも大事。もっとやれる、もっと勝てる、と思って現役を続けるのは、ただの自己満足のような気がしてしまって……。
――引退後は解説業の傍ら、よしもとに契約社員として入社、新卒と共に入社式に出たことも話題になりましたが、実際にはどんな仕事を?
石井:会社の中を歩き回ったり、あれこれと仕事を頼まれているわけではないですが、スポーツセクションというところで、FA「ふるさとアスリート」制度というプロジェクトに関わって、会議などにも出ています。もちろん、ただ漫然と出るだけじゃなく、しっかり自分の意見を言ってこのプロジェクトを活性化しようと考えています。
※11/10発売の週刊SPA!の「エッジな人々」では石井一久氏のロングインタビューを掲載中。
取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
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