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「完食率100%のお茶漬け専門店」オーナーは元JRA騎手だった

 飲食ビジネスを手掛ける有名人は今時珍しくないが、実際には人に任せきりでたまにしかお店に顔を出さないなんて話もよく聞く。  もちろん、それが悪いと否定するつもりはない。だが、一方でお店に毎日立ち、あえて自身の名前や経歴でアピールもせずに味で勝負しているところもある。

騎手引退後、会社勤めを経て起業

田口大二郎氏

田口大二郎氏

 新橋の路地裏にたたずむ『新橋深夜食堂』もそんなお店のひとつ。オーナー店主の田口大二郎氏はJRAの元騎手だが、それを知っているのはごく一部の常連客のみだ。 「お客さんとお喋りをするのは好きなのですが、いつも料理や酒の話ばかりなのでみんな知らないと思います(笑)」(田口氏、以下同じ)  田口氏の経歴を簡単に説明すると、騎手デビューは1994年。主に障害レースを中心に活躍していたが体調不良などに苦しみ、2002年に26歳の若さで引退。その後は競馬界には残らず、民間企業で会社員として働いていたという。 「外の世界を見て、そこで仕事をしてみたいと思っていたからです。ただ、まさか自分が将来お店を持つなんて想像していませんでした」  そう話すが、会社勤めを経て30代半ばで起業。騎手引退に続く大きな転機となるが、このときに飲食店の経営を始めたわけではなかったそうだ。 「知人の事業を手伝ったのをきっかけに始めた飲食店専門のお米の卸売りで、こちらの事業は今も続けています。扱うお米はすべて自分で選び、一般にはほとんど流通していないものもあり、ウチのお店で出しているお米も当然こだわっています」  飲食店を始めたのは、「人と直接関わる仕事がしたい」という思いから。騎手引退後、第二の人生を送っているうちにその気持ちが強くなっていったという。
お店はこの看板が目印

お店はこの看板が目印

店内は個室スタイル

店内は個室スタイルだ

「二毛作」とは、まさに言い得て妙

「二毛作」とは、まさに言い得て妙

 そして、始めたのが肉にこだわった個室居酒屋(※現在の店舗名は『MEAT KITCHEN 新橋店』)。飲食店激戦区の新橋でも人気店として知られているが、今回の『新橋深夜食堂』は同店の閉店後の時間帯を利用し、昨年12月にオープンした新しいお店。深夜0からの営業で、宣伝などはまったくしていないそうだが口コミで噂が拡散。筆者もお店のファンという友人を通じて、たまたまこの店の存在を知ったひとりだ。

自ら仕入れた激レアの日本酒を提供

「もともと日本酒が好きで、料理も含めて、ただ自分が美味しいものだけを提供したかったんです。場所が同じなので新たに賃料が発生しないこともありますが、ここに関してはそもそも利益率うんぬんではやっていません。経営者としてはマズいのかもしれませんけど(笑)」
『呼友』(=右から3番目)など銘酒がズラリ

『呼友』(=右から3番目)など銘酒がズラリ

 こだわりは当然メニューにも反映。例えば、日本酒であれば市場にはまず出回らない“幻の酒”として知られる『呼友(こゆう)』(1杯2000円)も置いてある。  これは久保田で有名な朝日酒造が主催する勉強会『呼友会』を終了した者にしか販売が認められておらず、田口氏はこの幻の日本酒を求めて群馬県みなかみ町まで仕入れに通っている。全国の20の酒屋でしか販売が許されないこのお酒の噂を聞きつけて飲みに来る飲食関係者もいるそうだ。  ほかにも新橋のバーの有名店に監修してもらった『最高レモンサワー』(900円)も絶品。皮をむき、筋を丁寧に取り除いたレモンを1個分使っているのだが、普段飲んでいるサワーとは完全に別物。レモンの風味や酸味を残しつつ、えぐみがなくてまろやかなのだ。
手書きのこだわりメニュー

手書きのこだわりメニュー

 酒がついつい進んでしまう、つまみ類も負けていない。これらはいつも田口氏自ら豊洲市場で仕入れたものを使用。「業者の方が『豊洲ではこれ以上のものは手に入らない』というレベルのものを揃えてます」と胸を張る。
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完食率100%のお茶漬けは絶品
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■『新橋深夜食堂』
営業時間:月曜日から金曜日 24時開店朝迄営業 土日祝日 17時開店朝迄営業
定休日:不定休(Instagramで確認してください@新橋深夜食堂)
住所・アクセス:東京都港区新橋3-13-2 B1F(新橋駅徒歩1分/烏森口よりNEWしんばしビルに沿って真っ直ぐ進み、KFCを左折。最初の路地を入ってすぐ)
TEL:03-3578-7910
※店内個室アリ。なお、17~23時は『MEAT KITCHEN 新橋店』として営業。人気は『元銀座久兵衛板前 高野氏監修 肉寿司』
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