更新日:2015年03月08日 10:46
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【刑務所のいじめ事情】ヒエラルキーの一番下は元警官と自称ヤクザ

男だらけの刑務所の中は、女よりも陰湿ないじめが横行している。それらは恨み辛みが根底にあるわけではない。工場と房を往復するしかない退屈な日常が続く受刑者たちにとって、娯楽程度の感覚でしかない。ときには死者も出してしまう危険ないじめの実態に迫る。 ◆出所するまでいじめられる元警察官やウソつきはヒエラルキーの最下層  1月25日、大阪府警に勤務する現職警察官が殺人容疑で逮捕された。被害者女性との交際中に別の女性と結婚し、それ以後も被害者と不倫関係を続けた無軌道人生の果ての計画的な凶行だった。
受刑者の娯楽と化す[刑務所いじめ]事情

※写真はイメージです(法務省HPより)

 情状酌量の余地がないこの色男に実刑判決が下されるのは間違いないとして、元警察官は刑務所内ではどのような処遇がされるのだろうか。懲役の経験がある暴力団関係者、黒田泰治氏(仮名・35歳)に聞いた。黒田氏が4年前に九州の刑務所で懲役暮らしをしていた頃、年齢は40代半ばの元警察官と同じ部屋になったという。 「もちろんソイツもバカじゃないから、元警察官だなんて自分からは言わない。だけどそういう情報は必ず回ってくる。同房には九州最大のKという暴力団のヤツもいて、その元警察官と仲良く将棋をやっていたけど、そいつが警官と聞いて、目の色が変わったね」  Kとは、手榴弾や対戦車用ロケットランチャーなどで重武装した北九州最凶の暴力団で、強烈な反警察志向で知られる組織だ。 「27歳くらいの若造だったけど、年の差なんて関係なしに元警察官を徹底的にいじめ始めた。本を読んでいてページをめくるときにかすかな音が出るのが気に入らなくて、『てめえ耳障りだからもう本を読むな』とか。金属工場の班長としての立場を利用して、『やる気ねえんならここから出てけよ』とむちゃを言って、やすりがけ作業を何度もやり直しさせたり、ひどいもんだった」  元警察官はまったく反発しないでひたすら従順を通した。だが、黒田氏がよく見ると10円玉ハゲを頭に何個も作っていたというから、よほどつらかったのだろう。 ◆子殺しやレイプ犯は一段下に見られる 「刑務所は集団生活だから、自然と序列ができて、まず、気の弱い者や体力の弱い高齢者がいじめの標的になる。その次は罪状による区別で、レイプや痴漢などの性犯罪は一段下に見られる」 ⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=811503 受刑者ヒエラルキー レイプ犯が刑務所に落ちると、因果応報にアナルを犯されまくるという都市伝説があるが、実際にはそんな修羅場は滅多にないようだ。その代わり、自分の性犯罪の経験を、何度も生々しく告白しなければならない。娯楽の少ない刑務所内ゆえに、「聞くポルノ」を提供する語り部としての需要は大。だが、被害者にとってはたまったものではない。 「性犯罪の下に来るのが、自分の赤ちゃんや子供を殺してしまったバカ親。刑務所で一目置かれる存在のヤクザって身内殺しを嫌うんだ。自然とカタギの連中も右に倣えだな。で、さらに下に扱われるのが元警察官ってわけだ」  また、とっぽい新人受刑者は、カタギのくせにヤクザを自称しがちだが、それが後で露見すると最下層の扱いとなる。 「シャバの女房や舎弟に頼んで、新しく入ってきた◯◯組の△△っていうヤクザは実在するのかどうか調べてもらうんだよ。経験上、自分からヤクザだと名乗っているヤツは、ほとんどが騙りだな」 ⇒【後編】『刑務所では「いじめ」が受刑者の娯楽になっていた』https://nikkan-spa.jp/810436 <取材・文/SPA!刑務所いじめ問題取材班>
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