外国人観光客「花見はまるでロックフェス」――“ハナミ”が世界の共通語になる日は近い
いよいよ到来した花見シーズン。美しい桜の下で酒を酌み交わす文化はもはや日本人のDNAに刷り込まれているが、花見を楽しみにしているのは日本人だけではない。満開の桜、そして花見という文化そのものを観光するため多くの外国人が日本を訪れているのだ。そんな外国人の目から見て、日本の花見はどのように映っているのか? 彼らの花見を探るべく、“メッカ”上野恩賜公園に足を踏み入れた。
◆外国人観光客「花見はまるでロックフェス」
上野駅の改札を出て公園へ歩みを進めると、周囲からは英語、中国語、韓国語、スペイン語、イタリア語……と、あらゆる言語が聞こえてくる。昨年4月、訪日外客数は前年比33.4%増を記録したが、その勢いは間違いなく今年の花見シーズンにも継承されている。さっそく外国人観光客に話を聞くと、やはり多かったのは「桜を見るために来日した」という声だ。
「I came to visit my friend, but I chose this season to see cherry blossoms( 日本に住んでいる友達に会いにきたけど、桜を見るためにこの季節を選んだんだ)。花見の雰囲気には圧倒されっぱなしだよ」(メキシコ)
「日本に来たのは初めてだけど、もちろん花見は知っているよ。It’s gorgeous(すばらしいよ)!! 人がすごく多いわりにはみんな秩序立っていて、礼儀正しいよね」(アメリカ)
花見シーズンだけで200万人以上が訪れると言われる上野公園。桜の美しさはもちろん、花見客の熱気に驚かされたという意見も少なくない。
「人がたくさん集まって、野外でお酒を飲んでいる雰囲気はちょっとしたロックフェスティバルみたいだね。It’s so unique because HANAMI is celebrated as festival(花見はお祭りとして祝われているところが独特)」(スペイン)
「Cherry blossoms are great but it’s so crowded(桜は綺麗だけど、人混みがすごいね)。ドイツでもピクニックは珍しくないけど、これだけの人が一ヶ所に集まることはないよ」(ドイツ)
一方で「すごく面白いけど、日本では普段庭に集まってグリル(BBQ)をしたりする機会はないの?」(ポーランド)
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と、逆に疑問を投げかけられるケースもあった。たしかに日本では近所関係や住宅スペースの問題、条例などの理由によって、欧米ほど野外のホームパーティーは定着していない。しかし、「年に一度」という希少性があるからこそ、魅力が増しているという側面もあるだろう。そんな花見への渇望が強まるにつれ、海外では自国で花見を楽しもうという機運も高まっている。
「HANAMI is wonderful(花見は素敵だよ)。家族や友達と地面に座って昼間からお酒を飲めるっていいよね。オーストリアでも花見は知られているけど、まだそういう文化はないかな。ただ、今度ウィーンには桜を植えたお店ができるみたいだよ」(オーストリア)
日本でハロウィンやオクトーバーフェストが浸透したように、世界で確実に広まりつつある花見。米Yahoo!や英テレグラフ紙のサイトでは、アメリカのワシントンDC、スウェーデンのストックホルムなど、世界の名所を紹介する特集もおこなわれている。「ハナミ」が世界の共通語になる日は近そうだ。
<取材・文/林バウツキ泰人>
※参照元
●日本政府観光局:http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/index.html
●Yahoo!:https://www.yahoo.com/travel/cherry-blossoms-c1425578529219/photo-seoul-korea-photo-1425585657511.html
●The Telegraph:http://www.telegraph.co.uk/travel/picturegalleries/9922037/Where-to-see-cherry-blossom-around-the-world.htmlライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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