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ようやく市民権が…「日本のプロゲーマー」を取り巻く環境

◆プロゲーマーとはどんな仕事?
プロゲーマー

DetonatioN代表・梅崎伸幸氏(写真左)と、プロゲーマー・Ceros氏(写真右)

 プロゲーマーとは、ゲームをプレイしてお金を稼ぐプレイヤーのこと。ゲーム大会の優勝賞金や、スポンサーとの契約料などが主な収入源となるが、海外のトップクラスの選手になると、1億円超の年収があるといわれている。  海外では、ゲームをスポーツ競技と考える動きが早くから広まっており、ゲームは“e-sports”と呼ばれて親しまれている。  例えばアメリカでは、PC向けゲームの『League of Legends』(以下、『LoL』) の公式大会“League Championship Series ”をプロスポーツとして認定。海外の出場選手にはプロアスリートビザが発行され、MLBやNBAといったプロスポーツの外国人選手と同じように扱われる。  また、韓国でもe-sportsが非常に盛んで、“学生のなりたい職業”の2位にプロゲーマーが選ばれるほど人気を博している。 “ゲーム=娯楽”の考えが根強い日本では、プロゲーマーが誕生しにくかったものの、日本初の給与制プロゲーミングチームが誕生したり、’16年の春からプロゲーマーを育成する専門学校が開校するなど、プロとして活躍する場や目指す場が増えつつあるのだ。 ◆選手たちが共同で生活してお互いのスキルを伸ばす<シェアハウス>  e-sportsは、個人戦とチーム戦に分類できる。2月17日より、ゲーミングハウス(チームメンバーが共同生活を送るシェアハウスのこと)での生活をスタートさせたDetonatioN FocusMeは、チーム戦で活動する日本初の給与制プロゲーミングチーム。現在、下は18歳から上は24歳まで、若者を中心に7人の選手が在籍している。
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Ceros氏たちが共同生活を送る家賃40万円、9LDKのゲーミングハウス。海外では、こういった共同生活が当たり前とも

「昨年末に支援してくれるスポンサーが見つかり、家賃や給与の支払いのメドが立ったので、選手たちに意思確認を行い、満場一致でプロゲーミングチームをつくりました」と力強く答えてくれたのは、DetonatioNの代表を務める梅崎伸幸氏。とある上場企業の営業マンとして安定した生活を送っていたが、日本のプロゲーマーのレベルを上げるために一念発起。昨年末に退職し、チームの運営に全力を注いでいる。 ◆遊びじゃない!? 厳しいプロの世界  選手たちの給与はスタメンとリザーブで差はあるものの、「リザーブの選手でも高卒初任給を少し下回る額を支払っています」とのこと。  労務行政研究所が発表したデータによると、’14年度の高卒初任給は16万1687円也。明確な回答は得られなかったが、家賃や光熱費、食費などは引かれないので、手取り約16万円と考えれば決して悪くはない。 「ゲームに専念しやすいし、メンバーとコミュニケーションをとりやすいのがメリットです」(Ceros氏)と、選手にも好評だ。 「とはいえ、選手たちとは2年間の契約期間中であっても、成績が悪かったり、今後の成長が期待できそうでなければ、契約を解除できる仕組みにしています。厳しいかもしれませんが、給与を払っている以上、選手たちにはプロとしての自覚を持ってほしいので」  梅崎氏は厳しいことを言いながらも、選手たちの引退後のサポートもしっかりと考えている。 「PCゲームの世界は、若手が次々に台頭してくるので、25歳くらいで引退する選手が多い。将来に不安を抱えたままプロを目指すことがないように、受け入れ先の確保にも全力を注いでいます」 ◆e-sportsの認知度が広がり、活躍の場が増加!<個人>
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板橋ザンギエフ氏

 個人戦のタイトルで活躍するのは日本人初のプロゲーマーとして知られる梅原大吾氏を筆頭とする格闘ゲームプレイヤーだ。’12年にゲーミングデバイスメーカーのRazerとスポンサー契約を結んだ板橋ザンギエフ氏も、プロゲーマーとして活動する格闘ゲームプレイヤーの一人。  長年、第一線で活躍している板橋氏は、「ここ数年で、e-sportsが広く認知されるようになり、数年前と比べてプレイの価値が上昇しているように感じています。活動の幅が広がってきているという実感もありますね」と教えてくれた。 「e-sportsは、ほかのスポーツと比べて新しいタイトルがリリースされたり、仕様が調整されたりと、目まぐるしく進化しています。将来を読みにくい面はありますが、経済レベルが活性化していく傾向にあるのは間違いないと思います。ある意味、『ゲームをやり込んでいるすべてのプレイヤーに、チャンスが広がっている』と言えるのではないでしょうか」  もちろん、板橋氏や梅原氏のように、トッププレイヤーとして活躍できる者はごくわずか。また、スポンサーと契約し、晴れてプロゲーマーになれたとしても、スポンサードだけでは安定した生活が送れないという声もある。  給与制のプロゲーミングチームと比べると、プロゲーマーとして食べていくのは、より茨の道だが、海外では優勝賞金が数千万円規模のものから1億円になる大会が存在するのも事実。日本で行われる大会も徐々に賞金額が増えているといわれているし、プレイヤーとして人気が出れば、ゲーム実況者として大会のイベントに参加したり、テレビやネットで配信される動画に出演するといったタレントのような活動も行えるようになる。今後はプロゲーマーで億万長者になる日本人も出てくるかも? 【DetonatioN代表・梅崎伸幸氏/プロゲーマー・Ceros氏】 DetonatioNの代表を務める梅崎氏(写真左)と、エース選手のCeros氏(写真右)。梅崎氏もかつては選手として活躍していたが、海外と日本のゲーマーの腕の差を見せつけられたことで、マネジメント業務に専念。日本初のプロゲーミングチームをつくった 【板橋ザンギエフ氏】 日本を代表するプロゲーマー。『ストリートファイター』や『バーチャファイター』の有名プレイヤーで、大会での優勝経験も豊富 取材・文/黒田知道
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