居住地として安泰の場所はどこ?インフラ老朽化が深刻な首都圏
―[[首都圏インフラ]老朽化の危機]―
51年前に開催された東京五輪に際して、大規模なインフラ開発が行われた首都圏。しかし、2度目の東京開催となる’20年五輪を控えた今、足元を支えるインフラは次々に老朽化の危機を迎えている。
◆首都圏脱出のオススメ地域
さらなるインフラ老朽化が予測される将来。居住地として安泰の場所はどこか、不動産コンサルタントの長嶋修氏に聞いた。
まず東京五輪に向け再開発が進む湾岸エリアはどうなのか。
「今回の五輪はロンドン五輪をモデルにコンパクトに設計されています。’64年大会では、道路拡張や立ち退きなどの問題もありましたが、今回は大きな問題は起こらないはず。会場の中心となる湾岸エリアはタワーマンションの売れ行きも好調です」
ただ、懸念される問題もある。
「心配なのは交通インフラの整備。バス高速輸送システムや路面電車などが計画されていますが、今後の人口増加を考えると輸送力の不足は明らかです。混雑する五輪までに、少なくとも倍以上の輸送力が必要ですね」
◆今後も安泰な地域は一部都市の中心部のみ?
また、人口減少や空き家増加に伴う問題は首都圏でも顕在化。インフラ整備の面でも自治体ごとの格差が拡大していくという。
「財政的に豊かな都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)や、空き家対策などに積極的な世田谷区は安泰でしょう。逆にニュータウンと呼ばれるエリアは、若者の流入がなければ財政が悪化し廃墟化する可能性も。大都市に人や財力が吸い取られる“ストロー現象”は今後より顕著になるはずです」
したがって、郊外で“暮らしやすい街”として生き残るエリアはかなり限定されることに。
「埼玉県ではさいたま市、神奈川県では横浜市の中心部。千葉県では柏市や千葉市、船橋市、市川市の一部のエリアくらいでしょう。それ以外では、子育ての環境を整えて若い世代が増加している千葉県流山市のように、先進的な取り組みを行う自治体のみが生き残るはずです」
また、同一自治体の中でも居住環境の格差は拡大するという。
「駅周辺などの人口集中地域を優先的に整備する“コンパクトシティ化”は、多くの自治体が推進しています。そのため財政が潤沢な自治体でも、周辺部ではインフラ整備や行政サービスが追いつかない場所は出てくる。住宅購入の際は、将来的な都市計画から外れた場所を選ばないように注意しましょう」
【長嶋修氏】
国交省・経産省などの委員も歴任する不動産コンサルタント。株式会社さくら事務所会長。近著に『これから3年 不動産とどう付き合うか』『「空き家」が蝕む日本』など
― [首都圏インフラ]老朽化の危機 ―
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