更新日:2022年10月20日 22:47
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騒音トラブルは“音量公害”ではなく“感情公害”。解決するには?

ここ最近、「騒音」によるトラブルが多発。中には殺人事件にまで発展するケースもある。その多くは、かつては「騒音」ととられなかったものが原因となっている。しかし、自治体はほとんど何もしてくれず、警察に通報して大ごとになれば身の危険も伴う。解決策はあるのだろうか?

日本でも、制度として近隣トラブル解決センター設立を

ラスベガスNJC(近隣司法センター)

ラスベガスNJC(近隣司法センター)の建物。政府が出資するので、ボランティア中心だが民間企業並みの労働環境で活動が可能。

「騒音問題総合研究所」の橋本典久代表は、ゼネコンで20年間、その後20年間を大学教員として音の研究に携わってきた。騒音を技術的側面と心理的側面の両方からアプローチできる日本で唯一といっていい研究者だ。 「騒音問題とは音量公害ではなく“感情公害”なんです。騒音問題は、実は音の大きさは関係ありません。音の発生者とそれを聞く人との人間関係や、それぞれの心理状態で『うるさい!』と思うケースがほとんど。私はこれを『煩音』と呼んでいます」  その発生メカニズムについて、橋本代表はこう説明する。 「例えば、アパートの上階での足音がうるさいと感じたら、初めは『もう少し静かにお願いします』と穏やかに注意します。しかし、注意されたら逆に面白くなく思う人も多い。『気をつけます』と言いながら足音はやまず、下階の住民は時間の経過とともに相手に『怒り』を抱く。さらに注意しても改善しないと怒りが『敵意』に発展、『あいつは悪いヤツだ』と捉える。すると、小さな物音も気になって仕方がなくなり、心理的には大騒音となって、いつしか心に『攻撃性』を宿し犯行に及ぶ……というわけです」
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昔は当たり前だった音がトラブルになる理由
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