鈴鹿に向けて視界良好!? ホンダF1の後半戦がすごい3つの根拠【2015】
前戦ハンガリーGPから約1か月――。待ち望んだF1のシーズン後半戦がついに始まる。舞台となるのはベルギーの伝統コース、スパ・フランコルシャン・サーキットだ。 後半戦初戦のベルギーGPから、マクラーレン・ホンダは内燃機関、燃焼室、インテーク、エキゾーストレイアウト、ギアトレインシテムを改良した2台のマシンを投入。鈴鹿に向けてホンダF1の視界は良好!?
【SPA!の超ポジティブ応援宣言!】
― ホンダのレーシング魂が炸裂する! ホンダF1の後半戦がすごい3つの根拠!―
【根拠1】今年の集大成パワーユニットを投入!
待ってました! ついにホンダのパワーユニットが大幅進化する!
ホンダは今シーズン、パワーユニットの改良に使えるトークンと呼ばれる“切符”を9つ持っている。すでにカナダGPで2つ使い、残りは7つ。6つのコンポーネントからなるパワーユニットのなかでも、エンジン本体にそのすべてを集中的にぶち込む!
「ホンダのパワーユニットの弱点は、エンジン本体です。ものすごく小さくつくったため、ルノーよりはパワーは出ているものの、メルセデスAMGやフェラーリと比べると劣っている。トークンを使ってエンジン本体をアップデートする進化版は、ここまで10戦の実戦テストのデータをもとに開発され、ようやく本チャン仕様といえるものになります」(F1ジャーナリスト米家峰起氏)
本チャン仕様は、後半戦の幕開けベルギーGPに投入する予定だとホンダF1の新井康久総責任者は明言している。
「ベルギーGPに間に合うかどうかが問題。ベルギーGPに投入される新しいパワーユニットがトークン7つ全部使ったものになるのか、それとも一部は遅れるのか、いずれにしろシンガポールGPには7つ全部使ったものが投入されるはずです。もし新しいパワーユニットにマイナートラブルが出ても鈴鹿の前にはきっちり対策される。つまり鈴鹿に持ち込まれるものは、今年の集大成パワーユニットといっていいでしょう」(F1ジャーナリスト尾張正博氏)
本チャン仕様のパワーユニットは、フェラーリを上回るほどの大きな進化を果たすという!
あとは車体だ。
【根拠2】新パッケージの車体の熟成が進みつつある!
そもそも、なぜホンダのパワーユニットが現時点でルノーのそれを上回っているかがわかるのか。
いまのF1マシンには、ものすごく正確なGPSが搭載されている。コース上のどこを走っているかがリアルタイムに表示されるのはもちろん、この位置情報のデータを分析すれば、どれくらいの速度でコーナーリングしているのか、コーナーの立ち上がりの加速はどれくらいなのか、果てはパワーユニットの馬力、トルク、マシンのダウンフォース量まで割り出せるという。
では、ルノーを上回っているホンダが、なぜルノーユーザーのレッドブルやトロロッソと戦えないのか。
「車体の差で負けている。ホンダのパワーユニットだけが悪玉にされていますが、実はマクラーレンの車体も全然よくなかった」(尾張氏)
そこでマクラーレンは、オーストリアGPから車体に新しい空力パッケージを投入した。
「それは、ホンダがパワーユニットを小さくつくったのに、車体側がその恩恵を十分に生かし切れてなかった証拠です。オーストリアGPから投入された新パッケージは、イギリスGPでは全然使いこなせなかったものの、ハンガリーGPでは徐々に使いこなせるようになってきた。まだまだ苦労はしてますが、後半戦は車体もよくなるはずです」(米家氏)
【根拠3】2人のドライバーにとって鈴鹿は第2のホームグランプリ!?
アロンソの母国スペインGP、バトンの母国イギリスGP、ともにリタイアに終わり、落胆の結果となってしまった。
しかし、2人には第2の母国GPが待っている!
アロンソは『葉隠』を愛読書と公言し、武士道とサムライに傾倒している。日本に来るといつも上機嫌で、東京の夜遊びも大好きだ!
バトンの奥さんは日本人。昨年末に結婚したファッションモデルの道端ジェシカさんだ。F1ドライバーのなかでも指折りの親日家として知られ、日本に対して特別な感情を抱いていることを口にしている。
つまり、2人とって日本GPは第2の母国GPといっていい。
鈴鹿では、パワーユニットも車体も大幅に進化して、十分に戦える態勢が整う。ホンダドライバーとして、いつも以上に熱い声援を受ける。燃えないはずがない!
母国GPの雪辱を鈴鹿で晴らしてくれるに違いない!
― F1メディアジャパンでたった2人だけの全戦取材ジャーナリストも太鼓判!? ―
●尾張正博さん<2002年からF1全戦取材>
パワーユニットにトラブルが頻発した前半戦は、それを解消するために多くの時間を取られ、パワーユニットのポテンシャルを十分に生かし切れてなかった。
ここにきて信頼性はかなり改善し、トラブルフリーで走行できるようになってきたので、エネルギーの回生・放出のマネジメント、ドライバビリティの向上など、パワーユニットのパフォーマンスを100%使い切るためのセットアップに傾注できるようになったことは大きい!
●米家峰起さん<2009年からF1全戦取材>
マクラーレンは「壊れるのを恐れるあまりコンサバすぎる」ホンダに不満を募らせていた。一方のホンダも「車体もよくないのに、不振の原因をすべてパワーユニットのせいにされている」とマクラーレンに不満を持っている。
今まで大人の関係からか表面化しなかったものが、ようやく本音をぶつけ合える関係になってきた。ケンカするほど仲がいいじゃないけど、これで“夫婦の絆”は深まるはずです!
【尾張正博さん】
2002年からF1全戦取材。『F1全戦取材』(東邦出版)が好評発売中。旅の手配の達人であることから「尾張トラベル」の異名を持つ。通算280戦以上取材!
【米家峰起さん】
2009年からF1全戦取材。今年からフジテレビF1中継フリー走行1の解説を務める。現地発のF1情報サイト『F1 LIFE』が好評。http://members.f1-life.net/
取材・文/コンコルド足立 写真/Honda McLaren Getty Images for Honda Motor Co. MOBILITYLAND


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