国宝・松江城を舞台にした「城攻め」イベントが勃発
両軍入り乱れた白兵戦、石垣をよじのぼり本丸へと迫る攻城部隊とそれを迎えうつ守備兵の応酬、堅く閉ざされた大手門を攻略するために編み出されたあまたの攻城兵器etc.
戦国時代劇の花形ともいえる“城攻め”を疑似体験できるイベント『鷹の爪団のSHIROZEME(城攻め)』が11月14日に開催される。舞台は国宝・松江城。山陰地方に唯一残る“現存十二天守”の一つだが、そもそも国宝に指定されているお城でこのような大掛かりなイベントが実現したのは何故か。イベントのオーガナイザーを務めるFROGMAN氏に聞いてみた。
⇒【画像】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=938073(城攻めマップ)
体験学習として成り立つのは、「城郭に備えられている“機能美”を知って欲しいから」と続ける。
「松江城というのは江戸時代に築かれた城で、そのため戦火に巻き込まれることもなかったのですが、城の造りそのものは軍事色の強い無骨な造りなんですよ。四方を見渡してみても、亀田山を切り崩して築城されたため、北側は山、南側は湿地帯で西には三十間堀という60メートル近い堀がある。必然的に敵が攻めてくるのは、東南から大手門を目指す進軍ルートのみ。その大手門に辿り着くまでも迷路のような構造で、大手門自体も狭くて大軍が入れないようになっています。建築物として壮麗で美しいのはもちろんですが、一方で大量殺戮兵器としての“城”本来の見方というものを味わってもらえればと思ってます。実際に石垣にとりついて初めて、『ああ、これは人間が心理的に怖いと思う高さ、角度なんだな』ということを体験してほしいんです」
今回は実験的トライアルという側面もあるが、今後はこの城攻めイベントを全国各地の城で展開していきたいと語る。
「夏冬問わず、水辺の城だったら水軍戦、山城だったらトレッキングも合わせてやれば面白いなと。夜には忍者体験なんていうのもいいですね。また、これは世界的な傾向だと思うのですが、かつて車、テレビなどの耐久消費財を欲しがっていた消費傾向が、ソーシャル全盛の今では“体験”を求めているように感じています。旅行、アクティビティなどを体験して周りに話す、自慢するということのほうにお金を費やしてくる。観光産業が世界的に増加傾向なのは間違いありませんが、日本ではインバウンドといってもいまだに大都市に集中していて地方にはそのアイデアがありません。来日観光客に松江城があるといっても、『いや、大阪城があるし』で終わってしまいますから。そこを『松江城では侍体験ができる』となると違ってくると思うんです」
来年のNHK大河ドラマでは、歴女から圧倒的支持を得る、真田幸村を主人公にすえた『真田丸』も始まる。一足先に松江城で、武者装束で一番槍を決める姿を見せつければ、新たな出会いの場としても考えられる……ってそれはちと期待しすぎか? 〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
●日本初!本物のお城でリアル城攻めイベント「鷹の爪団のSHIROZEME(城攻め)」
2015年11月14日(土) ※開催時間 9時45分~17時 ※荒天時11月15日(日)に開催 詳細は公式ホームページ(http://shirozeme.com)にて
「もともと歴史が好きだったということもあるのですが、島根に住んでいた頃、しょっちゅう松江城に遊びに行ってたんですけど、眺めるたびに思ったのが、『攻めてみたらどうなんだろう。本当に攻めづらいのか、言うほど機能しないんじゃないか』ってことでした。松江城を舞台にチャンバラごっこが出来たら楽しそうだなんて地元のおじさんたちと話していたら、『ガキの頃はよくやってたよね。今の子供たちはやらないけど』と。せっかくこんな遊び場があるのにもったいないなと。本物のお城でチャンバラごっこをやろう――というのがきっかけでしたね」
最近では、文化庁も文化財をただ展示するだけではなく、“町おこしや地域活性化に繋がる”企画に活用していこう――そんな気運もあり、交渉のすえ、今回のイベント実現にこぎつけたという。
「最初は朝から晩まで両軍二つに分かれて一大合戦にしようというイメージもありましたが、それをやると本気で死人が出るなと(笑)。老若男女に楽しんでほしいので、松江城全体をいわゆるテーマパークにみたてて、いろんなアトラクションを侍大将(キャスト)の解説に合わせて巡っていくというイメージです。歴史の体験学習の場としても活用してほしいですから」
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