国内最大の太陽光発電所も軽水炉16時間分の発電量しかない【藤沢数希氏】
◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏
年末年始に福島県と浮島・扇島太陽光発電所、かわさきエコ暮らし未来館を観光したという藤沢数希氏。稼働し始めたメガソーラーの発電量から、「どんなに楽観的に見ても、太陽光発電が主要な電力供給源となるのは前途多難」と語る。
◆自然エネルギーは補助金頼み。天気まかせのソーラーはオワコン。原発メーカーは事故っても儲ける!?
年末年始の休みを利用して、僕は福島県を旅行してきた。風評被害で人が少なくなった温泉を大いに満喫し、最高級の福島牛を堪能した。印象的だったのは、福島県ではみな普通に生活していたことである。当たり前だけど。それから、僕は川崎市の浮島に東電が建設した国内最大のメガソーラーも見学してきた。浮島と扇島を合わせて34haにもなる広大な太陽光発電所だ。このモンスターが生み出す電力量は年間約2100万kWhになる。
最新の原発の出力は毎時約130万kWなので、菅直人前首相が止めた浜岡の改良型沸騰水型軽水炉がたった1基で、浮島と扇島の34haの敷地を占有し1年かけて生み出す電力量を、たった16時間で賄えることになる。複数の原子炉が併設される浜岡原発全体ならもっと短い。やはりソーラーは非常に非力だ。しかも、天気がいい日の昼間しか電気をつくってくれない。
欧州のソーラー最大手Q-セルズの株価はとうとう0.5ユーロになってしまった。ピークには100ユーロを超えていたので、200分の1まで下落したことになる。米国のソーラーメーカー3位のソリンドラは破綻し、政府からの補助金を得る際に不正があったのではないかとFBIの捜査を受けている。金融危機が続くなか、補助金頼みの欧米の自然エネルギー関連メーカーは厳しい状況に置かれている。いよいよ医療費や年金をカットしようとしているときに、ソーラーや風力に税金を引っ張ってくるのは容易ではない。
【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/132193
「原発をすべて止めると国民一人あたり3万円の負担増に」
【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて、計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ。最新刊『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』が発売中物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
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