シャイなホークがみつけた、いっしょにいてラクなサムバディ――フミ斎藤のプロレス読本#029【ロード・ウォリアーズ編エピソード14】
―[フミ斎藤のプロレス読本]―
199X年
「レディントン・ショア、フロリダ……」
ホークが新しいアドレスだといって走り書きしたメモにはこう記されていた。住所に“ショア(浜)”がくっついているということは、きっとお洒落な海岸通り沿いの天井の高い白い家かなんかに住んでいるのだろう。
もちろん、そんなところで優雅にひとり暮らしをはじめたわけではない。きっとこれからはずっとここに住むことになるのだろう、と決心して海のそばに引っ越したのだった。
ホークの婚約者のデイルさんは、30歳のフィットネス・インストラクター。ハルク・ホーガンのワイフのリンダさんの紹介でふたりは出逢い、仲よくなった。あれほど雪国ミネソタを愛し、二度と結婚なんかするもんかといいつづけてきたホークが、こともあろうにビーチの住人になり、フィアンセとの“試験結婚”をはじめた。
フロリダ州タンパはプロレスラーの街である。ホーガンがいて、カール・ゴッチ先生がいて、「マレンコ道場」がある。おとなりのクリアウォーターにはジョニー・エースやメドゥーサが住んでいる。
レディントン・ショアは、タンパ市内からは車で30分くらいのところに位置するビーチタウンのひとつ。すぐ近所にはブルータス・ビーフケーキやウォーロードの家もある。
近くの“ワールド・ジム”にトレーニングに行くと、いつもだれかとばったり会う。ベンチプレスとかアッパーボディー(上半身)のワークアウトをするときは、レスラー仲間のバディとふたりひと組になってメニューを消化するのがいちばん能率がいい。
ブライアン・ブレアーが経営している“ゴールド・ジム”もあるけれど、あそこはなるべく避けるようにしている。ワークアウトに来ている女性のジム会員のほとんどがなぜかTバックのスパッツでそのへんを歩きまわっていて、気が散ってしようがないからだ。
トレーニングがすんだあとは、まっすぐ家に帰ってのんびりする。フロレディアン(フロリダ人)は、なんにもしないでただボーッとしている状態をリラキゼーションと表現したがる。
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