更新日:2021年07月24日 12:01
エンタメ

炎上した霜降り明星・粗品に吉本の恩師が送ったメール

炎上した粗品に送ったメール

本多正識

キングオブコントの審査員をする本多正識氏

 霜降り明星の粗品君が配慮を欠いたラジオの発言で炎上し、ニッポン放送の社長が謝罪会見を行う事態になってしまった。  このニュースをネットで知ったとき、すぐに粗品君に「あれはあかん!どんな場合でも人の生死に関わることへの発言はくれぐれも注意して、配慮せなあかんで」とメールを送った。「本当に申し訳なく思っています。反省しています」という返信があったが、本当に反省してもらいたいと思います。  粗品君を擁護する気は全くありませんが、頭の回転が早い、“笑い脳”の優れている彼は目の前の事象を反射的に笑いに変えられないかを考えてしまうのでしょう。みんなが喜ぶ話題の時はそれでいいが、今回のような時には裏目に出ます。  おそらく意識をして、考えてという時間を経ずに言葉に出してしまったのだと思いますが、これからはその前にフィルターを通す訓練をした方がいいでしょう。

ネガティブではなく面白い言葉を使おう

 テレビでネタを見ていても「死ね!」とか「殺すぞ!」というツッコミの言葉がしばしば見受けれますが、やはり不適切な言葉で不快に感じられる方もいらっしゃると思うので違う言葉に変えてほしいと思っています。授業では「ネガティブではない面白い言葉を使うよう」に指導しています。  これまでもいろんな事例で、努力をして築きあげてきたものが一瞬で崩れ去っていく様子を何度となくみなさんも報道を通じて見られてきたと思いますが、養成所の生徒たちにも「発言・行動」は気をつけるように私だけではなく、事務所から、他の講師の方から何度となく注意はしていますが、残念ながら起こってしまいます。  40年、50年以上前の芸人さんたちはその破天荒ぶりが逆に人気だったりしましたが、写真週刊誌が登場し、現在のようにSNSの普及で一瞬で情報を共有できる時代は常に監視されていて「どの職業以上の人よりも品行方正さが求められている」のが芸人さん、タレントさんです。  ですから過去の「いじめ自慢」犯罪スレスレ、明らかに犯罪というような「武勇伝」を自慢気に語るのも問題だし、収録ならその部分をカットせずに放送しているテレビ局側の責任もこれからはますます問われていくでしょう。  有名人、人気者になるほどその発言と行動は影響力が大きいのですからその結果ある程度のペナルティを受けてもそれは仕方がありません。それでもあくまで自分の技量で稼いでいます。  だから大目に見てやってほしいなどと言う気はもうとうありませんが、芸人さん、タレントさん以上にマスコミは、税金から歳費や様々な手当てをもらっている政治家に対して、偏向することなく厳しい目を向けて報道してもらいたいと強く思います……いや要望したいと思います。
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小山田圭吾の炎上
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漫才作家。'84年、オール阪神・巨人の台本執筆を皮切りに、漫才師や吉本新喜劇に多数の台本を提供。'90年吉本総合芸能学院(NSC)講師就任。担当した生徒は1万人を超える。著書に『吉本芸人に学ぶ生き残る力』(扶桑社刊)などがある

吉本芸人に学ぶ生き残る力

NSC講師として1万人以上の生徒を送り出した伝説の講師が教え子たちに教えた生き抜く術とは


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