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大量閉店いきなりステーキ。不調理由は「いきなり」ではなかった!2つの深刻要因

ペッパーフードサービスが経営危機

いきなりステーキ

公式HPより

 つい数年前まで、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を急拡大させていたステーキ専門店「いきなり!ステーキ」。ところが、店前の行列は徐々に見られなくなり、2019年12月期に営業赤字に転落しました。8月13日の決算発表では、21年12月期第2四半期の営業利益8.2億円の赤字、純利益1.8億円の赤字と不調が続いています。  この急転落を「いきなりフケーキ!」とTwitter上で投稿する声も少なくありませんでした。しかし、本当に不調は”いきなり”だったのでしょうか?  実は、「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービスが経営危機に陥った背景は、事前に察知することができました。不調の原因は「肉なら太らない」という思想ブームが急激に落ち込んだからではありません。  そこにあったのは「飲食店600店舗の壁」と「重なる借金」の二つです。  私馬渕磨理子がリブロースの300グラムのカッティングよりも正確に、同社の財務状況を読み解いていきましょう。

売上高は2019年で急失速

ペッパーフード業績推移

ペッパーフードサービス 決算データの推移。青字が売上高、赤字が営業利益

 ペッパーフードサービスの決算データの推移を見てみると、売上高の増加が2019年12月期を境に急失速しているのが見て取れます。この原因は店舗数が増加する一方で、一店舗当たりの売上高が鈍化していたから。  さらに2019年には、大量出店で27億円の大幅赤字に転落しました。大量出店することで、店舗同士で客の奪い合いが起こっていたのです。  この大量出店のダメージは詳しく解説する必要があります。実は、大量出店により業績急降下は “飲食店あるある”なのです。
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飲食店あるある「600店舗の壁」とは
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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