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ラブドールの売上がコロナ禍で急増。オリエント工業が語る、人と会えなくなる中で“求められたもの”

今年で創業45年となったオリエント工業。「ラブドール」業界のパイオニアで、製品の美しさは他に類を見ない。そんな同社のドールたちは、新型コロナウイルス感染症の影響で、需要が爆上がりしたという。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

売上は「コロナ禍で急増」!?

オリエント工業

オリエント工業のギャラリー&ショールームにはたくさんのラブドールが

営業企画部の小澤氏によれば、その伸びは「コロナ禍で急増した」というから、凄まじい。国内だけでなく、中国での需要もあったことも大きい。 そして、国内・海外問わず人気だったのは、世界初の「香り付き」オプションだったとか。最近では女性客も多く、もはや性需要そっちのけで人気があるという同社のラブドール。 性別も世代も、そして国境をも超えて愛される秘密を探るとともに、今後どんな未来を見据えているのか、話を聞いた。

コロナ禍で求められた「触感」と「香り」

オリエント工業“究極のリアリティ”を追求してきた同社が、初めて嗅覚に訴えるものを手がけたのは、歴史的といっていいだろう。 着想から4年、開発に2年をかけ、1年ほど前から新登場した「香り」オプション。発売前は売れるかどうか不安もあったというが、コロナ禍では、ほとんどの購入者がそのオプションをつけた。 小澤氏は、その理由を「写真や映像では、触感、においは感じられない。人と会えなくなって、画面越し、ネット越しだけでは得られないものが求められたのでは」と分析する。
オリエント工業

オリエント工業・営業企画部の小澤氏

開発のきっかけは、女性スタッフからの提案だった。造形師の大澤氏は、「それまで、視覚や機能性にばかり囚われていた」と明かす。 「美しいものとか、リアルな人間のルックスばかり考えていました。でも、香りをつけるのはどうかと言われて、そういう視点があったなと。『やろう』と、弊社社長は舵を切りました」(大澤氏)。 とはいえ、ハードルは高かった。口に入るケースや全身につけることも想定し、安全で、かつ量産できる体制をつくらなくてはならないためだ。 ちなみにどんな「香り」なのか。嗅がせてもらうと、石鹸のような香水のような、でもどちらでもなく、ふんわりと柔らかい香りが胸いっぱいに膨らむ。絶妙なブレンドは、まるで魔法にかかったようにいつまでも嗅いでいたくなる。 香りの素について、小澤氏は「人間が、体から出すにおいと同じような成分」だと説明する。「におい」は現在一種類。今後増やしていくかどうかは、ユーザーの声を聞きながら検討していくという。
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伸び続ける女性ユーザー層の“ニーズ”とは
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大阪府出身。大学卒業後、会社員を経てライターに。エンタメ系での著名人インタビューをメインに、企業/人物の取材記事も執筆。トレンドや話題の“裏側”が気になる。『withnews』で“ネットのよこみち”執筆中。Twitter:@Yoshikawa_Miho_

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