更新日:2024年01月17日 18:48
ライフ

笑い飯・哲夫が教育本を出版。「親御さんに伝えたいのは『がんばらないでいい』ということ」

 芸人として活躍しながら、小・中学生向けの補修塾を経営する笑い飯の哲夫。そんな彼が子どもの教育に悩む親たちの相談に答えた週刊SPA!の連載が『がんばらない教育』という一冊の単行本になって12月22日に発売決定!
がんばらない教育_カバー

『がんばらない教育』(扶桑社刊)は12月22日発売

 発売を記念して、前書き部分を公開するとともに、子どもの教育に悩む親たちに伝えたい思いを語ってもらった。(以下、前書きより転載)

カネ持ちだけが賢くなれるのは変な話

 僕がちっちゃいころは、近所に月3000円くらいで勉強を教えてくれるおばあちゃんがおって、それがなんだかよかったんですよ。ところが、いま吉本の社員さんに聞いたら、『最近の進学塾は月に6~7万円はかかる』と。少子化で値段が上がるのはしょうがない部分もあるでしょうけど、カネ持ちだけが賢くなれるのも変な話やし、もうちょっと安くで教えてくれるところがあったらええのになと思って、10年前に「寺子屋こやや」という補習塾を開いたんです。  週3回で月謝は1万5000円程度です。大阪市は塾代助成が月に1万円出る(※一定の所得制限があります)ので、家計の負担は5000円に収まるようにと考えてこの値段にしました。  現在日本の相対的貧困率は年々上昇していて、家庭環境が理由で塾に通えない子どもが少なくありません。僕は、子どもたちには全体的に勉強して賢くなってほしくて、塾のオーナーはそのための投資だと思ってるんです。  もともとカネを貸すのが好きなんですよね。おもろい後輩にカネを貸すとか……生きたカネを回すというんですかね。なかには返さないヤツもいますけど。人材育成のために子どもたちに投資するのも同じ。ほんまの投資ってそういうことやと思います。 SPA笑い飯1

最初から「進学は無理」とあきらめずに済む仕組みを作りたい

 学歴というのは、就職などの場面ではわかりやすくその人の価値を示すものであることは確かなので、僕は学歴社会を批判したいとは思いません。でも、みなそれぞれ特技を持っていると思うので、大学に行くことがかなわない子でも、その特技を上手に引き出してあげる教育の仕組みがあればいいなと常々思っています。  あとは、給付型奨学金の存在や返済猶予・減額などの仕組みについても、親や学校だけでなくウチみたいな塾でも気軽に相談できるようにして、最初から「進学は無理」とあきらめないで済むように力を尽くせたらいいなと思っています。  僕自身は、両親は高卒で共働きの家庭で育ちました。大好きなサッカーの強豪高校に行きたかったので、がむしゃらに勉強してなんとか地元の進学校に進みましたが、大卒のサラリーマン家庭がほとんどの同級生のなかでは結構浮いていたんじゃないかと思います。  こうした環境のなかで大学に進学できたのは、やはりもともとは近所のおばあちゃんが安くで勉強を教えてくれて、学ぶ楽しさを知ることができたから。もちろん、親は親で子どもを育てるためにめちゃくちゃ働いてくれていたのでその点はとても感謝しています。
次のページ
学校と家以外の居場所っていいじゃないですか
1
2
’74年、奈良県生まれ。県下随一の進学校・県立奈良高校から関西学院大学文学部哲学科に進学。卒業後の’00年に西田幸治と笑い飯を結成し、’10年、M-1グランプリ優勝を果たす。『がんばらない教育』『えてこでも分かる笑い飯・哲夫訳 般若心経』ほか著書多数

がんばらない教育

格安補習塾を経営する哲夫による画期的な子育て論


記事一覧へ
おすすめ記事