「消えろ!失せろ!」父の虐待と“吃音によるいじめ”に悩んだ青年が伝えたいこと
話しはじめの言葉に詰まってしまったり、言葉がすらすら出てこなくなったりする、発達障害のひとつに「吃音症(きつおんしょう)」がある。そんな吃音の症状に悩み続けた、匂宮 いずも氏(@IZUMO_niomiya・32歳)に話を聞いた。
いずも氏は1991年に神奈川県に生まれ、現在は横浜市を拠点にイベンターとして活躍している。発達障害にまつわるイベントを企画し、「発達障害SPACE BLUE ROSE」の主催者だ。障害年金を受給しながら就労移行支援事業所に通所し、社会復帰も目指している。
いずも氏は、低出生体重児(2000グラム)として生まれ、1・3歳児検診では医師から発達の遅れを指摘された。身長194センチと高身長の彼からは想像がつかないが、両親(主に母)は息子を今でいう「療育」に通わせた。
「リハビリテーションのリハビリは“復帰”という意味ですが、僕が受けたのは先天性障害や幼少時からの障害を対象として持っている機能を生かして、さらに発達させる治療である“ハビリテーション”でした」
2019年から就学前の障害児を支援するため、児童発達支援等の利用者負担が無償化された。だが、いずも氏の幼少期にはまだ発達障害という概念すら浸透していなかった。そのため治療は全て私費だったという。
「今、まともに社会復帰を目指せるのは、こういったハビリテーションなどの成果です。その面で両親に感謝をしています。父は自分が小さかった頃はかわいがってくれた記憶もあります」
幼稚園でのいずも氏は1人遊びが好きでいつも本を読んでいるような子どもだった。しかし、言葉を話した記憶がないという。小学校でも構音障害(言葉を発する器官の動きに問題があり、適切な発音ができなくなる言語障害)により、「し」「ひ」などの発音が特に難しいなどからかわれることが多かった。
「50音全てで、うまく発音できない言葉がありました。また、口の動きが悪いので、よだれが出てしまう。宇宙人がしゃべっているようだと言われました」
2000グラムの低体重児として出生
「宇宙人がしゃべっているようだ」
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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