更新日:2024年11月13日 15:17
仕事

部活の消耗品、修学旅行の下見代まで…年間20万円の自腹を切った中学教師「教育現場の常識は非常識だと早く気づけばよかった」

 教員不足が叫ばれる昨今だが、学校現場では「教師の自腹」という問題も深刻化している。多忙な日々のなかで自らの財布を開き、授業や部活で足りないものを補う先生たちを直撃。一般企業では考えられない、教師の世界が抱える独特の金銭問題とは?

年間自腹額20万円…「部活はタダ働き同然」常態化する自腹や重労働

公立中学校教師・橋本貴史さん (仮名・30歳)
[教師の自腹]残酷な現場ルポ

橋本さんは今、都内の精神科病院に通いながら、ハローワークで転職活動に取り組んでいる

「生徒にいい環境を与えたい一心で自腹を切っていました」  そう言ってうつむくのは、東京都下にある公立中学校に赴任して4年目の橋本貴史さん。これまで授業に関して細々とした自腹を重ねてきたが、大きかったのは部活だ。 「男女30人が在籍するバドミントン部の顧問を務めていたのですが、部費が少なくて大会の参加費に回すとシャトルなどの消耗品が買えない。購入申請は時間がかかるし後精算もできない。保護者から部費を徴収すると報告作業が増えて面倒なだけ。だから壊れたシャトルは毎月1万円の自腹を切って買い替えてました」  大会で生徒を引率する際に発生する自腹も多かったそう。 「男女の公式戦がそれぞれ年4回あって、土日が試合で全部つぶれる月もありました。引率すると特殊勤務手当が一日4000円つくのですが、交通費や昼食代は出ないのでタダ働き同然。ほかにも、審判資格の講習費や更新料なども出してもらえなかったです」

「感覚が狂っていた」

 そんな年20万円の自腹について、「常態化していて感覚が狂っていた」と振り返る。 「前に修学旅行の下見で京都に行った際、東京から往復の新幹線代3万円とホテル代1万円を立て替えましたが、宿泊代は自腹でした。教育現場の常識が、一般社会では非常識だと早く気づけばよかった」  現在、橋本さんは過酷な長時間労働で心を病んで休職中。すでに転職の意思は固かった。
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