精神科医・香山リカが熱視線! プロレスラー・マイバッハ谷口に学ぶ「人生を一変させる方法」
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<取材・文/織田曜一郎(本誌) マイバッハ選手写真提供/プロレスリング・ノア 香山氏マスク写真提供/キャラバン>
精神科医の香山リカさんから「くだらない連絡です」というタイトルのメールが突然送られてきた。
ご無沙汰してしまっているな、なんの件だろう、と開いてみると、今、香山さんが夢中になっているプロレスラーがいるという内容だった。
その名はマイバッハ谷口選手。プロレスリング・ノアに所属する選手で、今年の2月にヒールターン(悪役になること)し、ブレイクしているのだという。
かつて日刊SPA!の前身であるWebSPA!で、前衛的プロレス「マッスル」の連載を担当していた筆者であるが、正直なところ、最近のプロレス事情には疎くなっており、マイバッハ選手の名は不勉強ながら存じ上げなかった。
「じゃあ、私はその選手は知りませんが、香山さんがそこまでおっしゃるのであれば、誌面でマイバッハ選手と対談するページでも企画してみましょうか」と返すと、「マイバッハさんはメカになったので『ブオンブオン』としか言わないのです!」とのお返事。じゃあ、対談は無理だ。
とりあえず観てみないと、という話になり、8月25日のノア・後楽園ホール大会を、香山さんと香山さんの事務所の皆様と一緒に観戦をさせていただくことになった。だが、多忙な香山さんは、地方での講演があり、遅れて会場入り。しかも、このあとも仕事があり、お目当てのマイバッハ選手の試合を見ずに会場をあとにしなくてはいけないという。
「○分に出なきゃいけないから、ギリギリ、メインの入場は見られるかもしれない」と焦る香山さん。願いが通じた(!?)のか、香山さんが会場にいられる時間内にセミの試合が終わる。すると、「マイバッハさんが入場したら、いったん失礼します!」と香山さんはマイバッハ選手のマスクを被り(!)、紫色の紙テープをマイバッハ選手に投げて、そそくさと会場をあとにしていった。あの精神科医・香山リカをここまで夢中にさせるとは……、と唖然とする一幕であった。
マイバッハ選手は、本名を谷口周平といい、ノアの公式HPによれば、身長182cm、体重105kg。元自衛官で、レスリングでは国体で3度優勝している。アスリートとしては申し分のない経歴で2005年デビュー。だが、残念ながら「ハジケきれない選手」(香山さん談)で、実力はあるが、いい人すぎて、団体内でも「周たん」と呼ばれるいじられキャラだったという。
ところが、2月14日に、突然、対戦相手を椅子で殴り、悪の軍団入り。2月25日には悪のマスクマン、マイバッハ谷口として登場した。
「そのときは会場から失笑を買ったんですが、周たん時代からは考えられない暴走ファイトを繰り返し、次第に奇妙な人気が出てきたんですよね。いまでもときどき善人っぷりが出てしまい、リング上で棒立ちになることもあるんですが、それがまたチャーミングというか……」
と、試合後にわざわざ水道橋まで戻ってきて、熱心に語る香山さん。
いまでは押しも押されぬメインイベンターとなり、会場には香山さんがそうしていたようにマイバッハ応援マスクを被ったファンや、マイバッハガールズと呼ばれる女性ファングループも存在しているという。
香山さんがマイバッハ選手に注目している最大の理由は「マスク一枚で人生はこれほどまで変わるのか」ということだ。
「私も『周たん』時代は『ああ、ハイハイ』とスルーだったのに、マスクを被ってヒールになったことで、すっかり夢中です。キャラ替えをするのであれば、小手先ではなく正反対を目指すべきなんでしょうね。最初は笑われてもいいから、やけっぱちで突っ走っていくうちに、たとえ中身や実力はそのままでも、見た目を変えたことで周囲の見方が一変したいい例だと思います。そして、いったん輝きだすと、欠点までもがカッコよく見えてくる」
マイバッハ選手はプロレスラーという特殊例に思えるかもしれない。だが、普通の会社員でも服装をがらりと変えることなどで周囲の印象を変えるということは可能だ。さすがにマスクを被って出社するわけにはいかないが、自分のキャラクターに悩んでいる人には参考になる話ではないだろうか。
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