西新宿撲殺事件の“真犯人”に重大証言
六本木のクラブで起きた藤本亮介さん(当時31歳)撲殺事件の公判が、1つの山場を迎えた。この事件は関東連合メンバーがかねてからの抗争相手と間違え、人違いの末に起きたとされるが、第一報をメンバーに知らせ、襲撃のきっかけを作った元リーダー・石元太一被告に懲役11年の判決がくだされたのだ。
傍聴した関係者が語る。
「求刑が22年だったから、正直言って驚くほど安い(短い)判決だった。ただ検察側は控訴してくるだろうし、本当にこの刑期で決着つくかどうかはまだわからない」
しかし、無罪を主張していた当の本人は有罪判決に怒りが収まらない様子。法廷を出る間際、「俺は納得できないからな!」と叫びながら退廷したという。
六本木の事件は、関東連合と別の不良グループ一派との長きに渡る抗争が背景となっている。その象徴が、08年に西新宿で起きた撲殺事件だ。こちらはいまだに逮捕者が出ておらず、迷宮入りの様相を呈している。
ところが、振り込み詐欺グループの仲間割れから起きた死体遺棄事件によって、おぼろげながら西新宿の事件の概要がわかってきた。2010年12月に埼玉県の墓地で男性の遺体を遺棄したとして、警視庁は斉藤邦美容疑者を公開手配しているが、この容疑者及び周辺人物が関わった疑いが強く持たれているのだ。
斉藤容疑者を知る関係者が絶対匿名を条件に明かす。
「斉藤は八王子を根城にする打越スペクターという暴走族出身。この暴走族の先輩にNという男がいて、彼が六本木の事件で関東連合が狙ったK兄弟や、関東連合メンバーに刺されて重症を負ったA連合会の組員とツルんでいたんです。東京の不良勢力で言えば、反関東連合ということで固まっていた。
ところが、西新宿で殺された金村剛弘さんが亡くなる直前、Nたちは飲食店でたまたま出くわし、いざこざが起きた。その時、Nは金村さんにボコボコにされたようで、顔は目がふさがってしまうくらいパンパンに腫れるまでやられた。一発、二発じゃああはならないくらいにね。Nは執念深い男。周りに返し(報復)はするのか? と聞かれると、『俺の一存では決められない』と言葉を濁していましたが、やる気は満々でした」
金村さんが早朝、複数のバットを持った男たちに襲撃されたのはその数日後だった。当時、捜査にあたっていた警視庁にも飲食店でのトラブル情報はもたらされ、容疑者としてNの存在も浮上。Nは身柄の拘束までされたという。
「別件での逮捕で、Nは身柄を持って行かれました。たしか傷害だったと思う。西新宿の件について相当聞かれたようだが、警察は詰め切れなかった。それで仕方なしに逮捕案件で起訴し、名古屋刑務所に収監されることとなったのです」
なぜ、警察は詰め切れなかったのか。関係者に問うと、こう答えるのだった。
「まず、八王子の人間は関東連合と違って行き当たりばったりで人を襲ったりしない。金村さんを襲撃する際に、現場近くに防犯カメラはないか、Nシステムはどこに配備されてるか調べた上で、足の付かない車両ナンバーをつけてやっています。凶器だってとっくに処分しているはず。八王子の人間からすれば、六本木の事件はお粗末すぎます。
そしてここからは私の想像ですが、NやKは襲撃を指示することはあっても、現場には行ってないでしょう。彼らの立場では襲撃に参加することは考えづらい。そこで誰を行かせたか、となると、死体遺棄事件で手配されている斉藤や、すでに逮捕された八王子の面々ではないか。Nは暴力団員でこそないが、斉藤をはじめ“若い衆”をたくさん抱えていましたからね。彼らが実行部隊となったと私は見ている。関東連合側も当然、そこまでわかっている」
傷害事件の刑期をまもなく務め終わるというNが、釈放される日は近い。復讐の連鎖が断ち切られる日は来るのだろうか。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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