元関東連合・柴田大輔が明かす“いびつな絆”の核心「見立君と僕は光と影だった」
暴走族としてわずか数名からスタートしたその集団は、少年時代から凶悪な事件を連発。90年代後半の東京を跋扈した。「関東連合」の名前はその頃から“街の顔役”“恐怖の軍団”として恐れられ、イメージはますます増幅していった。
彼らが他地域の暴走族OBと一線を画すのは、“大人の世界”でも強い影響力を保持し続け、東京のアングラシーンで存在感を示したことだろう。AV、金融、IT、芸能、暴力団……あらゆる分野でその影はチラつき、表社会で活躍する大物経営者でさえ、名の通った彼らを重用した。『聖域~関東連合の金脈とVIPコネクション』(宝島社)の著者・柴田大輔氏は、黎明期から関東連合の中核的存在として悪名を轟かせてきた最高幹部の1人だ。
これまでに柴田氏は、別のペンネームながら『いびつな絆』『破戒の連鎖』(ともに宝島社)を出版。ベールに包まれていた六本木フラワー事件の内幕や、少年時代から続くメンバー間の「異様に歪んだ関係性」を赤裸々に描いてきた。その最終章として、初めて実名で書き下ろしたのが同著である。
「関東連合に関することは、これで書き切りました。もうノンフィクションを書くつもりはない」――そう語る柴田氏に、2時間にわたるロングインタビューを行った。
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――『聖域』の冒頭部分に、久里浜少年院の出所日に柴田さんをリムジンに乗った見立真一容疑者が迎えにくるシーンがあります。以降、暴走族ではなく表社会を舞台に成り上がっていく過程に、紙幅が大幅に割かれていますね。
柴田:1冊目の本から登場しますが、僕に夜の華やかな世界を教えてくれ、普通なら会えないような企業経営者をたくさん紹介してくれた先輩がいるんです。関東連合が最初に企業を作って進出したのがAV業界だったのは、彼の存在が大きくて、僕も最初は深く関わっていました。でも、1年もやればわかるんですね。食っていくのが精いっぱいで、いつ資金がショートするか分からない不安がついてまわって……。ビジネスで成功する要因には「腹をくくること」が必要不可欠だと僕は思っているのですが、コスト削減のために自ら男優までこなす他のメンバーたちと同じようにはできなかった。AVという仕事で、僕はそこまでの腹はくくれないと感じたんです。
芸能の仕事にも、手を伸ばしてはみました。青年コミック誌の仕事を決めるなど、それなりの結果は挙げました。ただ、いわゆる“芸能界のしきたり”みたいなものが、当時の僕にはどうしても理解できなかった。大きな仕事は力の強いプロダクションが独占して、僕らになんて回ってきやしない、みたいな。振り返ると、「大人に搾取されない聖域を作ろう」ともがいていたのが、当時の自分たちだったように思います。
そんな折に巡り合ったのが、モバイル広告という分野でした。ITバブルは崩壊した、なんて世間的には言われた頃だったけれども、聞けば聞くほど儲けの匂いがして。「芸能の世界でスター経営者になるには30年かかるけど、こっちは3年もあればいけるんじゃないか」と。10分の1の時間で済むなら、ITで勝負してやろうって思ったんです。
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