右翼主導の脱原発デモに密着
9月19日に東京で行われたデモに約6万人が集まるなど、全国で反・脱原発の声が高まるなかで、従来の「反原発=左翼」という概念を超え、保守・右翼側にもその動きが出ている。新右翼団体の一水会最高顧問・鈴木邦男氏は「『左翼を利するだけ』など反対の声もあるが、この非常時に右も左も関係ない」と話す。彼らが声を上げる“脱原発”とは一体何なのか。その姿を追った。
◆「命を、麗しき山河を守れ!」右翼主導の脱原発デモに密着
野田総理の地元である千葉県船橋市。この場所で、右派主導のデモを主催する団体「右から考える脱原発ネットワーク」による「新総理の膝元で脱原発を問う」と銘打たれた脱原発デモが開催された。
JR船橋駅から徒歩10分。デモの前に予定されている集会の会場に向かうと、主婦や10~20代の若者、年配者など数十人の参加者たちがすでに集まっていた。沿道の市民へ配るための風船や、幟を用意するなど準備が進められている。いわゆる“いかにも”な右翼らしい黒ずくめ隊服の姿はほぼなく、街宣車や大音量で流れる軍歌も聞こえない。
公園内には子供たちが物珍しげに集まりだし、駆け寄ってきた子供に風船やアメを笑顔で配る参加者たち。会場周辺には警察関係者約40人が集会の行方に目を光らせていたが、逆にその姿が浮いて見えるほど、会場には穏やかな雰囲気が広がっていた。
開始時間になり、呼びかけ人である針谷大輔氏(統一戦線義勇軍議長)、鈴木邦男氏(一水会最高顧問)らが挨拶する。
「本日は大きな声で船橋市民をは じめ、総理に“脱原発”を問いたいと思います。右も左も関係ない。野田総理を選んでいる船橋市民の皆さんに脱原発を訴えるべく、この集会を開催しました」(針谷氏)
「福島をはじめ、美しい領土が破壊されている。今こそ立ち上がらないといけない。今まで保守派だった人たちの間でも、ずいぶんと異議申し立てがされています。新しい形で抗議をし、声を上げていかなければいけません」(鈴木氏)
次いで、船橋市民代表の40代主婦や一般参加者らもスピーチ。約30分の集会を終え、いよいよ行進がスタート。日の丸を先頭に掲げ、デモ隊は動きだした。
― 右翼だって反原発その主張を聞いてみた【1】 ―
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