年収500万円超えを目指して地獄を見た人々

転職

インフレやチャイナリスクの高まりで、中国に進出している日本企業は、現地駐在員を削減中。大野さんの居酒屋も「客足が遠のいていつまで続けられるか」と不安な日々を送る

 35~39歳の男性正社員の平均年収は現在約543万円だが、年功序列、終身雇用が崩壊した今、これ以上の年収増は見込めない人がほとんど。さらに、グローバル化やIT化の流れを受け、賃金格差は広がるばかりとなり、負け組会社員は今後も増え続けるだろうと言われている。社会学者の阿部真大氏は言う。

「起業や転職に成功すればいいですが、リスクも高く相当な運と実力が必要。とはいえ、会社に居続けるにしても現状から踏み出すことが大切です。今の40代サラリーマンにはその決断と行動が求められているのです」

 そんな時代の到来を察知してか、500万円という平均的な収入を捨て、いち早く踏み出した先人たちがいる。4/1発売の週刊SPA!に掲載されている特集『[年収500万円男]天国と地獄』では、そんな彼らの“その後”についてリポートしている。ここでは、「年収500万円からダウンした人」を取り上げた地獄篇から、大野友則さん(仮名・40歳)の例を紹介しよう。

 有名私立大学の大学院を卒業後、大手電機メーカーに技術者として就職した大野友則さん(仮名)は、その後一貫して空調開発に従事してきた。ところが不況や円高によって会社の収益は圧迫され、給与は入社3年目を頂点に右肩下がり。それでも年収は570万円だったが、将来に閉塞感を感じ始めていた5年前、ある転機が訪れた。

「上海に本社のある中国系電機メーカーからヘッドハンティングの話がきたんです。肩書は技術顧問。待遇も駐在員に相当するもので、提示された年収は1100万円。断る理由が見つからなかった」

 転職先の上海では、独身男には広すぎる一等地の超高級マンションに運転手付きという厚遇が待っていた。当時を「『勝った』と思いましたね」と振り返る大野さんだが、その生活も長くは続かなかった。3年間の契約期間が過ぎると、更新されなかったのである。

「使い捨てにされる運命なのはわかっていたけど、せめて10年は働けて貯金も増せる予定でした」

 失意の大野さんは、日本での再就職も試みた。しかし……。

「中国での3年の経歴がマイナス評価され、面接の場で『国を売ったんですね』と露骨に言われたこともありました。年収500万円以上の会社は全滅で、それなら物価の安い中国で自営業でもやろうと思い、少ない貯金から出資して、上海市内に日本人向けの居酒屋をオープンしたんです」

 現在、大野さんの月収は約20万円、年収500万円と比べると半減だ。しかし、急激なインフレに晒されており、今や上海の物価は東京と同レベルにまで上昇。生活は日を追うごとに苦しくなるばかりである。

 本特集では、上記の大野さん以外にも、「年収500万円生活から踏み出したことで地獄を見た人々」を計5人取り上げている。また、「脱・年収500万円を果たした5人の成功者たち」のエピソードも紹介。転職、起業、投資……etc.年収UPを目論んで一歩踏み出した彼らがたどり着いたのは天国か地獄か。そして、彼らを分けたその境界線にはいったい何があったのか? SPA!渾身のノンフィクションルポ、ぜひご一読ください。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>

週刊SPA!4/8・15合併号(4/1発売)

表紙の人/乃木坂46

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