憧れの電子フラッシャー付き自転車も登場!「子ども用自転車の歴史展」
アラフォー世代が小学生の頃、男子の自転車は車のように大きなライトが輝き派手な装飾がカッコイイとされていた。電子フラッシャーと呼ばれる電子装飾、車のシフトレバーを模したもの、スピードメーターなど、とにかくコテコテだったのだ。その代表格である「丸石ヤングホリデー」(丸石サイクル)が、自転車文化センター(東京都品川区)で開催中の特別展「子ども用自転車の歴史展」で展示されている。学芸員・村山さんに、ヤングホリデーをはじめ、各時代の子どもたちが乗った自転車を紹介してもらった。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/674979/chbyc_02
「ヤングホリデーは現在の価値で10万円近くするような高価なもので、派手な電飾のデコトラやスーパーカーなど、車への憧れを持つ男の子の心を鷲掴みにする存在でした。たまたま私は、祖父が自転車屋さんだったので、祖父と両親からプレゼントされて似たタイプに乗ることができました」(自転車文化センター学芸員の村山さん、以下同。)
装飾品の多さなどから、価格の高さやメンテンナンスの大変さがうかがえる。
「80年代には、電池の消耗が激しかったこと、配線が切れたときの修理が大変だったことなどもあってか、姿を消していってしまいました。その後、ドロップハンドルのロードマン(ブリヂストンサイクル)が登場し、人気はよりスポーティーな自転車に移っていきました」
会場ではまたがることはできないが、当時買ってもらえず悔しい思いをしたという人は、間近でじっくりと眺めてみてはいかがだろうか。
お目当てのフラッシャー付き自転車以外にも会場には、日本に自転車が普及し始めた明治期の自転車、昭和天皇が幼少期に実際に乗っていた自転車など、貴重な自転車がズラリ。
「日本で自転車が普及し始めたのは、明治の終わりから大正にかけてです。刀鍛冶や金物を扱う職人が、外国人居留地周辺で自転車を見かけ、見よう見まねで作ったのが初期の国産自転車の始まりと言われています。明治時代には、鉄砲を製造していた会社が鉄砲の銃身を作っていた技術を活かして、フレームを製造し始め、後に自転車メーカーとなったところもありました」
年齢性別を問わず誰でも自転車に乗れるようになったのは、昭和40年代後半の高度経済成長期、鉄道会社が沿線開発を行い郊外のベッドタウン化が進んだことや、自転車メーカーが現在のシティサイクルの原型である「ミニサイクル」を発売し広く普及して行ったことなどが、理由だったという。
「駅までの移動や近所への買い物に自転車は必須となっていきました。それまで贅沢品だった子ども用自転車も、徐々に普及し始めました」
電子フラッシャー付き自転車や、キャラクターものの自転車など、昭和期の懐かしの自転車は見応えたっぷりだったが、現在の子どもはどんな自転車に乗っているのだろうか?
「現在でも仮面ライダーをはじめキャラクターものも乗られています。加えて、ペダルのない『ストライダー』(ストライダージャパン)のようなランニングバイクも、幼児の練習用として人気です。ただしランニングバイクは遊具ですので、必ず保護者が付き添って、事故防止のため坂道では乗らないで下さい」
明治から現在まで、子どもたちは変わらず自転車で遊んでいるのだ。貴重な自転車の展示や写真とともに、歴史を眺めてみてはいかがだろうか。
「子ども用自転車の歴史展」は9月28日まで、自転車文化センター(東京都品川区上大崎3-3-1自転車総合ビル1F)にて開催中。入場は無料。開館時間は9時30分~17時(最終入館 16時45分)。休館日は毎週月曜(月曜祝日の場合は開館・翌火曜日休館)。
<取材・文・撮影/林健太>
- 明治初期の国産子ども用自転車
- 手がけたのは鍛冶職人
- ペダル
- サドル
- 仮面ライダー(昭和55年)
- ストライダー(平成21年頃〜)
- 明治時代の町並みに馬車や自転車が
- 取扱説明書やパンフレットなども充実
- 展示場所(ライブラリー)
- 自転車のチェーンで立入禁止
- 車輪がゴム製となった(明治後期)
- ダイワ号三輪車(昭和20年代)
- 建物を通り抜けできる通路沿いの展示
- 自転車関連の紙資料も充実
- 昭和期は写真展示が豊富
- KUWAHARA BMX “E.T.”モデル(昭和56年)
- 子ども用自転車のカタログ
- 自転車に乗るキャラクターフィギュアなども
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