中国経済の崩壊は「偽札、偽電子マネー、偽銀行」から始まる
中華人民毒報】
行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
崩壊が今か今かと囁かれながら、意外と持ちこたえている感もある中国経済だが、今度こそヤバイかもしれない。貨幣制度そのものが危機的状況にあるからだ。
まず一因は偽札の横行。『南方都市報』によると、昨年上半期に中国で押収された偽札は約25億円以上に及ぶのだ。広州市在住の日系工場勤務・戸田誠さん(仮名・46歳)は「氷山の一角」と話す。
「体感的には100元札では20枚に1枚は偽札ですね。都市部の銀行でさえ、ATMから偽札が出てくることは日常茶飯事です」
2つ目は金融機関への不信感だ。
『中国新聞網』(1月24日付)によれば、南京市の“国有銀行”が、何の前触れもなく突如、閉鎖。預金者たちは破綻を疑ったが、実はこの銀行は金融業の認可を持たない偽銀行だった! ’13~’14年にかけ、高金利をうたって市民数百人から合計で約40億円を巻き上げていたのだ。詐欺に関わった5人が逮捕されたが、2人が現在も逃走中。被害者への弁済は難しいと地元紙は伝えている。
ここまで大掛かりな事例は珍しいが、広州市の日系メーカー勤務・安岡栄太郎さん(仮名・36歳)によると小規模な“偽銀行”はたくさんあると話す。
「中国ではここ数年、理財商品(高利回り金融商品)の過熱ぶりが問題になっていますが、買ったのが本物ならまだいいほうです。地方では行員が顧客からお金だけ預かり、ノミ行為をしている場合も多い。私の周りでは、銀行を信用する人はいませんね」
そして貨幣制度の崩壊を招く最後の要因がサイバー空間だ。中国の多くの金融機関はあまりにも無防備なのだ。1月20日、広東省公安庁は、銀行システムに侵入し、他人のアカウントから現金を盗み出していた犯罪組織を検挙したと発表。押収されたグループのパソコンには160万件に及ぶ個人データや銀行情報が保存されており、銀行口座やクレジットカード合わせて19万件が不正使用できる状態だったという。そのすべてが現金化されていた場合、被害総額は約300億円に達したという。
一方、中国独自の決済システムで運用残高が23兆円以上といわれる「支付宝(アリペイ)」のアカウントも乗っ取り事件が横行している。偽装の決済画面にアクセスすることでパスワードを盗み取られるという手口で、昨年には蘇州市在住の男性が約620万円も盗まれる事件が発生している(『中華網』昨年12月1日付)。
武漢市の運送業・武智義文さん(仮名・37歳)の身近にも、サイバー犯罪に巻き込まれ、支付宝の残高をすべて失った人がいるという。
「私の友人は、街なかのカフェの無料Wi-Fiに接続したところ、140万円ほど盗まれた。今や中国では日本以上にネットでなんでも買え、支付宝は便利なのですが、詐欺被害が多すぎて二の足を踏んでしまいますね」
「トラブル孫悟空」ことジャーナリストの周来友氏は、貨幣不信による副作用を指摘する。
「現金や預金、証券も信用できないとなると、資産は結局不動産で持つしかないということになる。円安で日本の不動産が割安になるなか、今後ますます中国人による不動産購入が盛んになる」
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