更新日:2018年03月20日 19:01
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引っ越しの際に役立つ“事故物件”を見抜く5つの方法――事故物件公示サイト「大島てる」管理人が明かす

 戦慄のリアルミステリー映画『残穢【ざんえ】‐住んではいけない部屋‐』の公開を記念して、話題の事故物件公示サイト「大島てる」の代表・大島てる氏にインタビュー。引っ越しの際に役立つ、事故物件を見分ける方法を聞いてみた。もしかすると、あなたが今住んでる部屋も事故物件かも知れない!? ――そもそも事故物件とは、文字通り事故があった物件と考えていいでしょうか?
事故物件公示サイト「大島てる」管理人が明かす“怪しい物件”を見抜く5つの方法

大島てる氏

大島:一般的にはその物件や敷地内で人の死にかかわる事件・事故が起きた物件のことを指します。自殺や殺人、火災死などのほかに孤独死があった物件も含まれます。つまり“住人が不遇の死を遂げた物件”ですね。もともとは不動産関係者のなかで業界用語として使われていた言葉なんです。 ――「大島てる」によって世間に浸透した感がありますよね。大島さんのサイトでは4万件以上の事故物件が確認できますが、実際、日本に事故物件は何件ぐらいあるんですか? 大島:内閣府の発表では日本の年間の自殺者はおよそ2万5千人。その半分以上が自宅で亡くなっています。それに殺人現場などを加えた数の事故物件が毎年増えている。そう考えると今我々のサイトで掲載している数はここ10年間の事故物件の10%に満たない。日々、有志の方々によって更新を続けていますが、まだまだ氷山の一角にすぎません。 ――ところで、よく耳にする事故物件が“1人目の住人に対しては必ず告知される”というシステムは本当なんですか? 大島:裁判例を踏まえて1人目の入居者に話すようになってきたのは事実ですね。以前は1人目にも言わなくていいというのが当たり前でしたが、近年、1人目の入居者に対してはきちんと告知しないと宅地建物取引業上まずいという認識が業界内で共有されるようになりました。 ――では“2人目以降には伝えない”という話も本当なんですか? 大島:それはある種、都市伝説ですね。1人目には必ず教えなければならないということで、けっして2人目に言わなくていいという話ではない。つまり不動産業者に聞けば教えてくれる可能性もあるということ。怪しいと思ったら尋ねてみるべきです。

要は業者の誠意次第の面も

――今回の映画のなかにも事故物件が多く登場しますが、引っ越しの際に事故物件を見分けるポイントがあれば教えてください。 大島:では1つずつ紹介していきましょう。まず1つめは家賃が相場よりも安い物件。ただこの場合はほぼ確実に告知してくれます。事故物件には本当のことを言って家賃を下げて貸し出すパターンと、しらばっくれて家賃を下げないってパターンの2つしかない。つまり家賃を大幅に安くしている場合は、すでに事故物件ということをこちらに伝えてくれる意思があると考えていい。しかし注意しなければならないのは、伝えるタイミングは業者によってさまざまだということ。ひどいところだと契約書を交わす段階で言ってくる場合もあります。だからネットに載せている段階から「告知事項有り」と記載している業者はある意味良心的とも言えますね。  2つ目はリフォーム。物件内の風呂やキッチンだけがリフォームされている場合は自殺や殺人現場などの痕跡を消すためにそこだけ取り換えた可能性がある。ただこちらも家賃が安い場合と同様、誠意を見せているわけですから良心的な事故物件と言えますね。  3つ目は定期借家。海外赴任中や、取り壊すまでの期間だけ誰かに住んでほしいという貸主の希望に添って期間限定で誰かに住んでもらう定期借家という制度があるんです。この制度を利用して、1人目には事故物件と伝えて家賃を安くしたうえで短期間の定期借家の契約で貸し出す場合がある。1人目が退去したら2人目の住人には事故物件だと伝えずに元の家賃に戻すんです。つまり前の住人が退去した理由が定期借家の契約だった場合は非常に怪しいですね。  4つ目は物件名。マスコミに出るような凶悪事件があった物件は、マンション名が変わっているケースがかなりあります。外壁の色を変えることもよくありますね。  5つめは空き室。今回の映画に登場するような入居者が異常を訴えたいわく付きの部屋は、空き部屋のまま放置したり、倉庫として利用する場合が多い。人に貸さなければ誰からも文句を言われないですからね。集合住宅の賃貸であれば、隣室や上下の部屋に関してはたとえ事故物件でも告知する必要はないとされている。隣の部屋が明らかに空き室なのに大家が満室と言っている場合は怪しいですね。ただこればかりは住んでみないとなかなかわからない。 ⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1041490
(映画『残穢』より)
――今、住んでる部屋がこの5つに当てはまっている場合は、事故物件という可能性がありますよね。 大島:そうですね。まずは我々のサイトで自宅をチェックしてみてください。過去10年の大きな事件があった物件は掲載されています。あとは建物の住所をネットで検索してみたり、近所の飲食店などで聞いてみるのも効果的ですね。 【大島てる】 株式会社大島てる代表取締役会長。2005年より事故物件公示サイト『大島てる』(http://www.oshimaland.co.jp/)を運営。殺人事件、自殺、火災などの事件・事故で死亡者の出た物件の情報を公開している。 ●映画『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』
事故物件公示サイト「大島てる」管理人が明かす“怪しい物件”を見抜く5つの方法

(C)2016『残穢―住んではいけない部屋―』製作委員会

<2016年1月30日(土)全国ロードショー>  小説家の「私」(竹内結子)の元に読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から手紙が届く。その内容は「今住んでいる部屋で奇妙な音がするんです」というものだった。調査を開始した「私」と久保さんの前に過去の住人たちが引越し先で自殺や殺人など数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる――。ベストセラー作家・小野不由美の傑作小説を、『チーム・バチスタの栄光』『予告犯』など数々のベストセラー原作の実写映画化を成功に導いてきた中村義洋監督が映画化。戦慄のリアルミステリー映画が誕生した。大島てる氏も絶賛するリアルな事故物件の描写にも注目だ。 出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一 監督:中村義洋 原作:小野不由美 配給:松竹
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