「この女、かっこいい!」――46歳のバツイチおじさんは影のあるクール美人に心を奪われた〈第21話〉
翌日、ビーナスが指定したカフェに行くと、この間、踊り狂っていたビーナスとはまるで別人の爽やかな美人先生がいた。
俺 「ビーナス。ありがとうね」
ビーナス 「オッケーよ! さぁ、早速やろっか」
まず初めに、彼女は俺の今の英語力をテストした。
その後二人で話し合い、リスニングは二人で会話しながら覚えることとなった。最初の3時間は3つの単語からランダムに英作文を作る練習。
ラスト1時間は発音をもう少し丁寧にやることが決まった。
やはり、英語の先生だと俺の英語を類推し、理解してくれる。
初日は久しぶりに、4時間ぶっ続けで英語をしゃべり続けた。
スパルタ英語学校の8時間に比べると圧倒的に少ないが、ぐったり疲れた。
ビーナス「ごっつ、よくぶっ続けで4時間踏ん張ったね。頑張った!」
俺 「ありがとう! 明日も同じ時間にこの場所でいいスか?」
ビーナス「うん。そうしましょ!」
レッスンが終わると、ビーナスがカフェでビールを二つ注文した。ここが、セブ島のスパルタ学校と違うとこだ。もともとは友達の関係から始まっている。
「乾杯!」
二人で乾杯し、英語でビーナスの家庭のこと、趣味、どうしてプノンペンにいるのかなどを聞いた。こちらも、離婚の話や世界一周の話、日本での仕事の話などをした。やはり、片方が英語力が高いと、話は深いところまでできる。美人先生と楽しくお酒を飲んでるだけで英語の勉強になる。
「このプライベートレッスン、なかなかいいかも!」
ビーナスと別れると、バイクタクシーでエラに会いにお店に行った。
エラは俺が来てくれたことをすごく喜んでくれた。
俺 「ちょっとだけ抜け出して、近くで一緒にごはん食べない?」
エラ「うん。いいよ!」
ローカルなお店でハンバーガーを食べた。
相変わらずぎこちない会話だったが、お互い一生懸命にコミニケーションをとった。
昨日より少しはエラのことが理解できた気がする。
俺は思い切ってエラにデートを申し込んでみることにした。
俺「エラ、お休みってあるの?」
エラ「うん。週に一回だけあるよ」
俺「良かったら、お休みの日、俺とデートしない?」
エラ「………」
俺 「どうかな?」
エラ「……」
俺 「……」
エラ「……明後日、お休みなんだけど、私空いてるよ」
俺「え? 本当!? じゃあ、ごはん食べに行こう」
エラ「うん。いいよ!」
二人でデートの約束をすると、俺はバイクタクシーを拾いお別れをした。
すると、エラがお見送りをしてくれた。
「やったー~!」
テンションがマックスに上がった。
運の流れを変えたあのカジノで勝って以来、何もかもうまく行きすぎだ。
しかし、勝負の世界に永遠に勝ち続けられる勝負はない。
気をつけねば――。
そう自分に言い聞かせ、心の手綱を締めた。
ホテルに戻りスマホを見ると、Facebookにメッセージが入っていた。
「あ、ビーナスからだ」
メッセージを開くと、ドキッとすることが書いてあった。
【明日のプライベートレッスンなんだけど、もしよかったら、私の部屋でやらない?】
え……?
ビーナスの部屋……?
たしか、ビーナスは一人暮らしのはず……。
俺は「プライベートレッスン」という言葉から、中学生の頃見たエロい映画「プライベート・レッスン」を思い出した。エマニエル夫人を演じたシルビア・クリステルが主演だ。「プライベート・レッスン」はエロかったが、「エマニエル夫人」はさらにエロかった。
エラとの距離を詰めるために始めたプライベートレッスン。
しかし、その前にビーナスとの距離が詰まりそうな予感がした。
果たして彼女はどんな手ほどきをしてくれるのだろうか。
椅子に座ってレッスンするのだろうか。
もしかしてベッドの上に腰掛けるのか。
英語だけだろうか。
実技もあるのだろうか。
その場合、4時間で足りるのだろうか。
延長システムはあるのだろうか。
俺の妄想は頭の中で音を立ててフル回転していた。
脳内iTunesに「エマニエル夫人」のテーマ曲がかかった
♫メロディー・ダムール・シャンテ・ル・コー・デマニエル キ・バ・コー・ア・コー・ペルドゥー
何かが大きく動き始める気配を感じた。
今夜のプノンペンは少し蒸し暑かったが、のぼせるような恋をするにはちょうどいい気温のように思えた。
次号予告「魅惑のプライベートレッスンの全貌とは!? 加速度を上げるプノンペン恋物語」を乞うご期待!
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
<バックナンバー>
【第20話】「運の流れを変えなければ」――46歳のバツイチおじさんはカジノに活路を見出そうとした
【第19話】「俺、ここで死ぬかも」――46歳のバツイチおじさんは窓のない部屋で生死の境をさまよった
【第18話】「俺は女性の涙に人一倍弱い」――46歳のバツイチおじさんは彼女の悲しい表情に胸が締め付けられた
【第17話】「なんだか新婚旅行みたいだね」――46歳のバツイチおじさんは象の背中の上で彼女に微笑みかけた
【第16話】「こんなところで漏らしたら大惨事だ」――46歳のバツイチおじさんは全神経を集中させてトイレを探した
【第15話】「俺は今、自分を見失っている」――46歳のバツイチおじさんは旅を立て直すために大きな決断を下した
⇒【第1話】からの全バックナンバーはコチラから
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