「テラスハウスの一員になろう」――46歳のバツイチおじさんはイケメン&美女集団に溶け込もうとした〈第23話〉
どうやら、テキーラの一気とマイケル・ジャクソンのスリラーダンスで酒が回ってしまったようだ。
なんでこんなときに……。
学生時代鍛えたのはずなのに。
若い時はどんなに飲んでも大丈夫だったのに。
「…どうやら…異国で…調子に乗って……酒を飲みすぎたみたい」
しかし、時すでに遅し、目の前はぐるぐる回っていた。
彼女たちに酔ってるのがバレたらかなりダサい。
ここは大人の男としてかっこつけなければ。
俺はクールを装い、こう言った。
俺 「ちょと疲れたから2階のソファーで座ってるわ。テキトーに楽しみな」
女子二人組 「りょーかい! じゃ、ごっつさん、また後で~」
俺は2階のソファー席で水を飲み、酔いを冷まそうとした。
しかし、一向に治らない。
それどころか、平衡感覚をなくし、まともに歩くことができなくなった。
完全に酔い潰れてしまったようだ。
30分後、女子大生2人組が俺の元にやってきた。
女子2人組 「あれ? ごっつさん、ごっつさん」
俺 「…おー、元気?」
女子2人組 「……」
俺 「…い、いや、も、盛り上がってる?」
女子2人組 「……もしかして、酔っぱらってます?……お水持ってきましょうか?」
ここで介抱されては男がすたる。
俺 「大丈夫、大丈夫。俺は明治大学出身だから立てなくなるぐらい飲むなんて慣れてるんだよね。2人とも気にせず、楽しんで!」
不自然すぎるくらいの作り笑いでニコリとし、彼女たちを送り出した。
2人が下のフロアーに行ったのを見届けると、風の谷のナウシカの巨神兵のように廊下に崩れ落ち、立てなくなった。
やがて女子大生2人組は、さすがに不自然すぎる俺の酩酊ぶりを察したのか、心配して何度も俺のとこにやってきた。
「……かっこわりーな…せっかく若者が旅先で楽しんでるのに…足を引っ張って…不甲斐ない…ホントに…申し訳ない」
俺は、気丈に振る舞った。
これ以上は迷惑をかけられない。
俺 「ごめん。酔っ払ったから、ここで少し休んでから帰るわ。お店出て、左に20メートル行ったとこに、トゥクトゥク乗り場があるんだけど、そこ、白人も多くて安心だから2ドルで車つかまえて、宿に向かいな。宿の住所と場所わかるよね?」
女子2人組 「…うん、わかるけど、大丈夫ですか?」
俺 「…大丈夫。こういうのは慣れてるから大丈夫。安心して。じゃあ、気をつけて帰ってね。宿に着いたらLINEちょうだい。心配だから…」
女子2人組 「…わかりました。少し踊ったら帰ります」
俺 「あ、でも、時間も遅いから、そろそろ帰ったほうがいい」
女子2人組 「わかりました。帰ります」
2人は素直に俺の言うことを聞き入れてくれた。
彼女たちが降りていくのを見届けた直後、俺は瞬時に意識を失った。
爆睡した。
ふと目が覚めた。
何分経ったかわかない。
「あれ? ここどこ?」
クラブの爆音が脳に響いて頭が痛い。
どうやらクラブの床で眠っていたようだ。
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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