NBC特番“タイソン起用”に失敗――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第97回
ビンス・マクマホンは、NBC特番“サタデーナイト・メインイベント”(1990年2月23日=ミシガン州デトロイト、ジョー・ルイス・アリーナ)の特別ゲストとしてプロボクシング統一世界ヘビー級王者マイク・タイソンをプロレスのリングに上げる計画を立てていた。
ビンスにとってタイソンの起用は“レッスルマニア1”でミスターT、シンディ・ローパー、リベラッチ、モハメド・アリらをプロレスのリングに登場させて以来のクロスメディア・プロジェクトになるはずだったが、このプランはタイソン・サイドをとり巻く状況の急変で実現不可能となった。
ビンスが緊急来日し、ジャイアント馬場・全日本プロレス社長、坂口征二・新日本プロレス社長とともに合同記者会見を開いて4・13“日米レスリング・サミット”東京ドーム大会の開催を発表してからわずか2週間後のできごとだった。
タイソンは2月11日、東京ドームでバスター・ダグラスと世界タイトルマッチをおこない、“二流のチャレンジャー”と酷評されたダグラスにまさかのノックアウト負けを喫して王座から転落した。
タイソンのボス、ドン・キングはWWEとコンタクトを図り、すでに契約を交わしていたタイソンのブッキングをキャンセル。特別レフェリーをつとめる予定だったタイソンの欠場で、メインイベントにラインナップされたハルク・ホーガン対“マッチョマン”ランディ・サベージのWWE世界ヘビー級選手権はマスメディアが飛びつきそうなニュース性、話題性を失ってしまった。
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