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「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に

日米安保を維持するなら、本土が基地を引き取るべき

「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に

高橋哲哉教授

 11月21日、沖縄の米軍基地負担の軽減を目指した全国知事会の研究会初会合が東京・千代田区の都道府県会館で行われた。これに出席した翁長雄志沖縄県知事は「米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因」と発言、沖縄の負担軽減を訴えた。沖縄では、辺野古や高江など、基地建設予定地では現在も激しい反対運動が繰り広げられている。  そんな中で、基地反対運動の中に新たな潮流が生まれている。これまで基地建設反対運動をしてきた大阪、福岡、新潟の住民たちが、自ら「基地引き取り」を表明しているというのだ。「基地反対」だったはずの彼らがなぜ、「基地引き取りへ」と変わったのか。  彼らの理論的支柱となり、以前から米軍基地の「本土引き取り」を提唱している東京大学大学院の高橋哲哉教授に聞いた。 ————————————————————————————–  私はかつて「日米安保をなくせば沖縄から米軍基地をなくせる」と言ってきました。しかし、それだけではダメだと思ったのです。それには2つの理由があります。  1つは、安保は何十年経っても維持されているし、その支持率は減るどころか逆に9割近くに達している。それなのに「本土の負担率が圧倒的に低い」というのはおかしいということです。  もう1つは、1950年代に本土の海兵隊が沖縄に移設されるなど、歴史的に本土が沖縄に負担を押しつけてきたことです。安保を維持するなら本土が引き取るべき。  皮肉にも「基地はどこにもいらない」との反基地スローガンが、沖縄の「県外移設」を望む声を阻む壁になってきました。
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