高校生が日本初の「騒音トラブル解決モデル」を発足。周辺住民からの苦情も激減
ここ最近「騒音」によるトラブルが全国的に多発、中には殺人事件にまで発展するケースもある。その多くは、かつては「騒音」ととられなかったものが原因となっている。しかし、自治体はほとんど何もしてくれず、警察に通報して大ごとになれば身の危険が伴うことも。果たして、解決策はあるのだろうか?
長野県松本深志高校では、10年ほど前から吹奏楽部の楽器や応援団の太鼓、球技などの音に近隣住宅から「うるさい」との苦情が寄せられていた。このため、運動部は猛暑でも体育館の住宅側の窓を閉めて練習、吹奏楽部は屋外練習を自粛し、応援団も太鼓にタオルを当てて消音に努めてきた。
昨年9月、応援団と放送委員会に所属する柳原真由さん(当時2年生)は、応援団の顧問から「住民から『うるさい』と苦情があった」ということを聞き、この問題を考え始めるようになったという。
「『どうして部活動が理解してもらえないの?』と思うばかりでした。ほかの生徒も『この場所は学校が先に建っていて、住宅地が後にできたのだから、苦情を言うのは違うだろう』との意見も多かったです」
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1393651
柳原さんはこれを機に、応援団だけでなくほかの部活動、そして他校にも同じ苦情があることを知った。文化祭の後夜祭での打ち上げ花火を中止した高校、文化祭のコンサートでは窓に消音用のべニアをはめこむ高校……。
「私も、“騒音”を出す2つの部(応援団と放送委員会)に所属しています。そこで『そもそも、住民の方々は私たちの出す音をどう思っているのかな?』との疑問を覚え、近隣住民との意見交換会を企画しました」
柳原さんは“騒音”を出すと言われる部活の部長ら20人で実行委員会を立ち上げる。20人は、学校から2区画の範囲に住む140軒の一軒一軒を訪ね、「意見交換会」のチラシを渡しながら交換会への参加を呼びかけた。そして11月20日、第1回意見交換会が実現する。
生徒はそれまで近隣住民と話したこともなければ、話す必要も感じたことがなかった。だが、住民を直接訪問したことと意見交換会をしたことで、双方に収穫があったという。
「住民全員が苦情を言っているのではなく、実は少数の人だけだということがわかりました。住民の方々も、『生徒たちがここまで我慢をしていたのか』と驚いていたようです」
その後、吹奏楽部に試験的に屋外で演奏してもらい、それが地域でどう聞こえるかを生徒と住民で検証した。その結果、住民たちは部活動への理解を深めていったのだ。
今年3月19日に開催された第2回意見交換会では、住民から「町会でもっと積極的に取り組んでは」との意見が出た。それを受けて、1人の町会長が「意見交換会は意見の交換だけで、議決機関ではない。生徒、地域、学校の三者間で何かしらの議決ができる常設フォーラム設置を検討したい」と提案。この提案は了承され、すぐに三者が動くことになる。
生徒側の代表は柳原さん。柳原さんは「地域交流委員会」を設立し、同委員会がフォーラムに参加するための原案を生徒会本部会で協議。次いで評議員会の議決、そして最後に生徒大会での承認と走り続けた。
猛暑でも体育館の窓を閉めて練習、応援団は太鼓にタオルを当てて消音
苦情を寄せる住民は、実は少数だとわかる
生徒、地域、学校の三者で常設フォーラムを設置
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フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線、入管問題などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。Twitter:@kashidahideki
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