更新日:2016年12月09日 22:12
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「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に

引き取る運動の過程で、自分が「加害者」であることに気づいてほしい

市街地に囲まれ、「世界一危険な基地」と言われている沖縄・普天間基地

 この「基地引き取り」を提唱するときには、私も覚悟を決めました。まず何よりも、基地反対派からの「戦争を認めるのか」とか「(基地容認に)転向したのか」といった誤解を払拭する努力が必要です。いざとなれば、私の住む地域に米軍基地が来ることも認めなければならない。  引き取る運動の過程で、私たちが沖縄への加害者であることに気づいてほしい。いろいろと議論は起こるでしょう。でも、そもそも米軍基地の問題は自分たちの問題。それなのに、まるで沖縄だけの問題のようにとらえられ、議論がないことがおかしいのです。  その議論を通じて、私たちは「加害者」であることをやめ、米軍に守ってもらうという安保体制を見直すこともできる。  昨年、安保法制の反対運動に多くの人々が参加して盛り上がりましたが、結局そうした議論はありませんでした。「基地引き取り運動」が、日本の安全保障体制を考え直す出発点になればと望んでいます。 【高橋哲哉】 1956年、福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『犠牲のシステム――福島・沖縄』『沖縄の米軍基地「県外移設」を考える』(ともに集英社新書)など <取材・文/樫田秀樹>
フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線、入管問題などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。Twitter:@kashidahideki
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犠牲のシステム 福島・沖縄

経済成長や安全保障といった共同体全体の利益のために、誰かを「犠牲」にするシステムは正当化できるのか?

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