「エレクトロニックラップユニット」も脱却しようとしている
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――その「自ら発信」の第1弾として、ワンマンライブの当日に『unPOP』というEPをリリースされたわけですが、完全な新曲は「unPOP」と「もや燃やして」だけですよね。残り2曲は前からデモで聴かせてもらっていた曲なので、この2年弱でいつかさんの意識がかなり変わったんだなと思いました。
いつか:そうですね。まだ「成長した」と言っていいのかわからないですけど。
――個人的には、感情を突き放す余裕が感じられた気がします。
いつか:この2曲に関しては、ネタを募集したのが大きいのかもしれないです。「もや燃やして」はキリンビール「のどごしオールライト」とのタイアップでもやもやしたことをツイートしてもらって、「unPOP」はAbemaTVの番組(8~10月に放送された『Charisma. company 生ホウレンソウ』)内で自分の身に起こった痛くて泣ける話を募集して、そこから抜粋したので、客観的に書けたっていうのはあります。わたしの主観よりも、みんなが思ったことを形にしたみたいな曲なので。
――他者の感情に寄り添って作ったってことですかね。著名なアーティストと「初めまして」で組んだわけですが、従来のやり方とはどう違いましたか?
いつか:これまでは「こういうのがいいです」みたいな要望を参考曲とともにトラックメーカーさんに伝えて反映してもらってたんですけど、初めて完全にプロデュースしていただいた感じなので、模索しながら。フルカワユタカさんにプロデュースしていただいた「もや燃やして」では、オケ録りの段階から参加させてもらいました。いい経験でした。ドラム、ベース、ギターで演奏してる、そこにグルーヴがあった。「バンドいいな」って普通に思っちゃいました(笑)。
――西寺郷太さんがプロデュースした「unPOP」のほうは?
いつか:郷太さんとはとにかく頻繁に会いました。たぶんコミュニケーションをとりながらやるタイプだから、楽曲を作り始めるまでに3回ぐらい会いましたね。「ちょっと」って呼び出されて、お茶しながら話して、「あー、そういう感じね」みたいな。最初の打ち合わせで「3分の曲を3分で作るから、俺は」って言ってて、びっくりしたのを覚えてます。実際には全然、3分で作ってはいなかったですけど(笑)。
――この2曲を聴くと、「OL」と同時に「エレクトロニックラップユニット」も脱却しようとしているような印象を受けますね。
いつか:そうなんですよ。生楽器を入れてみよう、というアイデアから、郷太さんやフルカワさんの名前が挙がって、お願いしたんです。まだ手応えをつかめたとはとても言えないし、過渡期もいいとこですけど、新鮮さみたいなものは感じてます。
――iTunes限定ボーナストラックの「SEMI SWEET」はAKAIのMPC TOUCHのタイアップ動画で作った曲ですよね。動画で見たときからいい曲だなって思っていました。
いつか:これも別に働いてなくても書ける詞ですね。
――セミへのラブソングですもんね。新機軸を感じるというか、人間相手よりよっぽど素直な愛情表現が印象的で(笑)、いきもの愛を歌うアルバムを作ってほしいと思いました。
ゴンチ:そう。ラブソングって人相手じゃないですか。でも人以外でも成立するんだなって思いました。聴く人はそれを人に置き換えたりもできるのが面白いですよね。
いつか:人以外には愛を素直に表現できる(笑)。しゃべるから、人は。動物には自意識ないでしょ。素直なんですよ。自意識というものにムムッてなるのかもしれないですね、わたしは。SNSの自撮りに「かわいいって言って」って一文をつけてくれればいいのかもしれないけど、まぁ、みんなそこは伏せるわけじゃないですか。見てるとァァアア……って(笑)。ゾクゾクしてきちゃう。
――人間相手と思わせて曲が進んでいくうちに「あれ? これってセミの話?」ってなる展開もいいし、虫アルバム作りましょうよ。
いつか:そうですね。タイトルは『INSECTS』で。
ゴンチ:女性は虫嫌いな人が多いから微妙かも……(笑)。
――ゴンチさんは『unPOP』についてはいかがですか?
ゴンチ:前作とか前々作は1曲ごとに社内の光景が浮かぶ歌詞が多かったんですけど、1フレーズごとに、例えば自分の経験だったりとか、いろんなイメージが浮かんでいくのがいいなと思いました。みなさんのネタを集めて作ったっていう新しいアプローチによるところもあったと思うんですけど、歌詞を追いながら「わかるわかる」みたいなパターンじゃないのが新鮮ですね。
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