アンダーテイカーの“弟”ケイン出現!――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第270回(1997年編)
試合開始から約30分後、入場ゲートに爆発音は響きわたると、次の瞬間、タイタントロンのすぐ下に大きな影が現れた。アンダーテイカーの元マネジャー、ポール・ベアラーに先導されて花道をゆっくりと歩いてきた“赤い人影”は、金網のドアを開けるとケージ内に侵入した。
リング上を照らすライティングがディープな赤に変わった。アンダーテイカーと“赤い人影”はリングのまんなかで激しいニラミ合いを演じた。そして、場内が明るくなった瞬間、真っ赤な全身タイツと黒マスクの大男がツームストーン・パイルドライバーでアンダーテイカーを脳天からキャンバスに落下させた。
炎をイメージさせるリングコスチュームに身をつけた大男は、アンダーテイカーをノックアウトしたあと、無言のまま退場。それまでリング内でノビていたショーンが失神KO状態のアンダーテイカーの上に覆いかぶさり、タナぼた式のラッキーなフォール勝ちをスコアした。
アンダーテイカー対ショーンの超大型変則金網マッチ“ヘル・イン・ア・セル”は、WWEのリングではひじょうにめずらしい大流血戦となった。試合終了後、ショーンはセコンドのハンター・ハースト・ヘルムスリー(トリプルH)とチャイナの肩を借りて“密室の地獄”から退場した。この3人こそ新派閥DXことディジェネレーションXのオリジナル・メンバーだった。
ケイ椎損傷のケガで戦列を離れている“ストーンコールド”スティーブ・オースチンは、この日、ゲスト・コメンテーターとしてビンス・マクマホン、ジム・ロス、ジェリー“ザ・キング”ローラーらといっしょに仲よく実況ブースに陣どった。
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