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海外では大人気なのに日本では…。知られざるハンドボールの魅力

 そしてもっとも特徴的なのが攻守の切り替えの早さ。縦が40メートルしかなく、サッカーで言うオフサイドのような反則もなく、手でボールを投げられるという仕組みにより、相手ゴール前に到達するのは本当に一瞬の早業。そのため、シュートを撃たれた直後こそが大きな反撃のチャンスとなります。  相手のシュートをゴールキーパーがキャッチできたり、跳ねかえったボールが味方の手にスポッとおさまったりすれば、一本前に投げるだけですぐさまシュートチャンスとなってしまいます。惜しいシュートを撃った5秒後に失点なんてケースも頻繁に起きます。そのため、味方がシュートを撃ったらすぐ戻ることが習慣づけられており、ゴール前のエリアにジャンプで飛び込んでいく味方が出ると、それを合図にチームメイトは自陣に戻っていく。  さらに、その切り替えの早さというのが単に出場選手の移動という意味だけでなく、チームのシステム自体をも変更しながら行なわれます。ハンドボールは選手交代が自由に何度でも行えるのですが、攻守が切り替わったタイミングで、守備的な選手と攻撃的な選手を入れ替えて、まるでアメフトのようにチームのシステムそのものを変化させていきます。  今回男子の決勝に進出した大崎電気には、テレビのバラエティ番組でもおなじみの宮崎大輔さんが所属しているのですが、宮崎さんは攻撃の司令塔として「チームが攻撃するタイミング」で入ってきて、攻撃が実らなかったらまたベンチに戻るというのを繰り返していました。  そうした交替策はさまざまな場面で活かされており、たとえば「反則によって一時的な退場者が出た場合」などには、「攻撃時はゴールキーパーを下げてコートプレーヤーを入れる」「守備時はゴールキーパーを戻す」という形で欠員を補うような動きも。とにかくめまぐるしい。ボールも人も動きまくる高速の展開は、休むスキがまったくありません。

スポーツマンNO.1決定戦でおなじみの宮崎大輔さんが元気に奮闘中

 率直に言って面白い。  サッカーのシステムと、バスケットの速さラグビーのぶつかり合いに、野球のような1対1の勝負アメフトのようなシステム……たくさんのスポーツのいいところを掛け合わせたような面白さがハンドボールにはあります。  なるほど欧州では人気が高かったりするわけです。日本代表がオリンピックにも出場していない、一般的には認知度が低い状態の競技であるにも関わらず、思いがけない有料入場者がいるのも競技自体の面白さからくる部分でしょう。  とりわけ場内で目を引いたのは「女子」の多さ。オシャレな20代前半大学生もしくはOLくらいの女子が、たくさん観戦に訪れていました。  経験者とか関係者という目線ではなく、大望遠の一眼レフを構えた「観戦者」として、たくさんの女子がハンドボールに群がっていました。選手の写真を撮り、名前を呼び、サインボールをキャッチしようと飛び跳ねる。静かなブームの兆しがすでにありました。
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試合も「神試合」ともいえる展開だった
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※フモフモ編集長の「今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪」第1回~の全バックナンバーはこちら

自由すぎるオリンピック観戦術

スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本





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