更新日:2017年06月19日 23:02
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“Jポップの伝道師”DJ和が語る、ミックスCDのこれからの在り方

――新作の『俺のラブソング』は’80~’90年代のラブソング集ですが、この企画はどのようにスタートしたんですか?  そもそも最初の『J-ポッパー伝説』を出した時はアラサーくらいがターゲットだったんですが、今は年齢層が上がっていて、恐らくアラフォーから50代くらいの人が今作に入っているような、’80~’90年代の名曲を聴く層だと思うんです。  それで、今作の前に『俺の応援歌』というミックスCDを出して、最初はこれだけで終わるつもりで考えていたんですよ。  ただ、そういうアップテンポな「上がる」曲を集めた一方で、Jポップの場合はその逆もできるよなと。歌とか歌詞とか、そういう雰囲気がメインの「上げ」とはまた違ったコンセプトにもできるよなと。そう考えたときに、日本の曲はほとんどがラブソングなんですよね。そしてラブソングが嫌いな人はいない。だからラブソングという“記号”で一つの作品を作ってみようと思ったんです。 ――全部、イントロでピンとくるような王道の曲ですよね。  こういう王道の曲を集めるミックスCDは最近やっていなかったので、ある意味新鮮でしたね。やっぱりここらへんの曲を通って生きてきた人がほとんどでしょうし、だから音楽の根底に戻るというか、そういう作品になればいいなと。 “Jポップの伝道師”DJ和が語る、ミックスCDのこれからの在り方――DJ和さんは現在30歳なので、世代的には少し前の作品が多いですよね。  そうですね。だから当時リアルタイムで聴いていた層ではないんですけど、こういうミックスを作るようになってから、Jポップアーティストの過去の作品を遡って聴くようになったりしました。それこそ中古CD屋で当時の8cmシングルを探し回ったりしています。CDコーナーの「あ」から「ん」まで全部見ていったり(笑)。それでも当時のCDって本当にもう売っていないんですよ。カラオケ版が聴きたいから必死に探して買ったりしているんですけどね。  そういうなかでいろんな曲を聴いて「あぁ懐かしい」と思うものもあるし、逆に「こんな曲を出していたんだ」と発見があったり。そこらへんは親が普通のJポップばかり聴く親だったので、ある意味「普通の家庭」で育ったのがよかったんだと思うんですよね。 ――音楽のエリート教育を受けてこなかったのが逆によかったと(笑)。  そうそう(笑)。洋楽ばかり聴く親だったら、こうならなかったでしょうしね。 ――今作では収録曲のトータルセールスが3600万枚という、異常な数字です。  本当に、今だと考えられないですよね。こういうCDがメチャクチャ売れていた時代のヒットソングって、世の中への浸透率がハンパないんですよね。詳しく知らないけど、みんなが口ずさめる。その音楽が持つ力は本当にすごい。その力は、DJとしては忘れちゃいけないというか、かけ続けていかないといけないものだなと思いますね。 ――『俺のラブソング』というタイトルですが、男性の曲だけじゃなく、女性の曲も多いですよね。  そうですね。最初は男性の曲だけでいこうかなと思ったときもあったんですよ。ただ、当時のラブソングをリストにしてみたら、女性の歌で重要な曲がたくさんあって、外せないなと。それに男性でも女性のラブソングが好きな人は大勢いるわけです。「俺はやっぱりプリプリが一番好きだ」みたいな。だから、そこで完全に分けてしまうのはもったいないなと。 ――曲のセレクトはどのように進めるんですか?  最初は僕のなかで倍くらいの曲のリストを用意するんですけど、そこから「これは絶対に入れたい」という曲を選んでいったりして、だんだん固めていく感じです。といってもJポップのラブソングを1枚にまとめるの自体がもう無茶な話なんですけどね(笑)。これ以外にも山ほど入れたい曲はあったんですが、なんとか固めて、この形にしたと。 ――当然、権利的な問題で入れられなかった曲もある。  そうですね……。どうしても大人の事情で入れられなかった曲もありましたね。タイミング的に難しくてダメだった曲もあるし、あとはアーティストの諸事情によっても入れられない曲もありました。  あと、もともとこういうミックスの作品だと、一曲まるまるを載せるんじゃなくて、曲を1コーラスだけ使用して次の曲に繋ぐことが多いんです。その際に「この曲は絶対に切ってはダメ」という曲だと使えなかったりするので。普通のコンピだったら大丈夫なんですけど、その理由で入れられないのが一番多いかもしれませんね。 ――とはいえ、これだけの名曲揃いだと、曲順も含めてまとめるのが大変な気がします。どういう意図で曲を繋げているんですか?  もちろん、近いテンポや似ている曲調で繋げていくのはあるんですけど、Jポップの場合はそれだけじゃちょっとつまらない気がするんですよね。  というのも、普段からDJプレイを全然聴いていない人にも届けないといけないので、そういうテンポとかよりも、時代感とか近いアーティストとかを繋いで、飽きないようにしていこうと思っているんです。この作品って70分くらいあるんですけど、それを全部一気に通して聴くことはそんなにないはずなので、だから最初のコーナーはテンポがよかったり、中盤のコーナーは女性の曲が多かったり、起伏を作ることで「俺はここのコーナーが好きだから毎回聴く」という部分を見つけられるような流れは意図的に作っています。  ただ、そのなかで頭と最後だけは間違いなく強い曲にしたいと思うんですよ。だからミックスを作るときは最初と最後の曲をまず決めて、そこからラインナップを詰めていく流れで作っていくことが多いですね。
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’10年代以降の曲で作ろうとなると難しい
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俺のラブソング mixed by DJ和

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