Zeebra「誰か一人が売れればいいってもんじゃない」――人気番組『フリースタイルダンジョン』の立役者が激白
黎明期から日本のヒップホップ界を牽引してきた“第一人者”が今、あらためて注目を集めている。即興のラップバトルで新たなファンを開拓し、深夜番組ながら社会現象を巻き起こす『フリースタイルダンジョン』をMCとしてオーガナイズ。またクラブカルチャーを守るべく風営法改正運動に精力的に取り組むなど、ラッパーの枠を飛び越えた活動も記憶に新しい。ストリートカルチャーの担い手として世代を超えて支持されるZeebraがその生き様、息苦しい閉塞感を打破するヒップホップな生き方の神髄を激白!
――「MCバトル」をフィーチャーした『フリースタイルダンジョン』が人気となるなど、ジャパニーズ・ヒップホップがにわかに勢いを取り戻しています。その理由は何だと感じますか?
Zeebra(以下・Z):最大の要因は、若者に広がったこと。2000年前後にもヒップホップ・ブームがあったけど、そこで取り込んだファン層も20代後半から30代くらいになると、「ブームに踊らされるなんてダセぇ」って思うようになって、どうしてもコアな方向に行ってしまった。だから、音楽性の深まりに反して、ポップ・カルチャーからは離れていってしまったわけで、やっぱりブームをつくるには10代を盛り上げてなんぼなんだよね。それが『高校生ラップ選手権』や『フリースタイルダンジョン』で現実化しつつある。
――とくに深夜番組ながら世代を超えて多くのファンを獲得している『フリースタイルダンジョン』の影響は大きいと思うのですが、ヒップホップのアイコンとして、若者たちへのZeebraさんの影響力は絶大ですね。
Z:まあ、俺自身がどうこうより、ヒップホップシーン全体を盛り上げていくことのほうが大切だよね。ラップを始めた頃から、ずっとそれを念頭に置いて活動してきた。俺たちの音楽って、誰か一人が売れればいいってもんじゃない。Zeebraしかかからないクラブはないし、KREVAしかかからないクラブもない。20組、30組のアーティストがバリっとメジャーになって、繋がっていくことで初めて成立するカルチャーなわけで。今、ヒップホップが盛り上がっているって言われてるけど、これで定着したとは思ってないし、まだまだこれからだよね。
――活動の当初からシーン全体を視野に入れてきたということですが、そもそもヒップホップとの出会いを教えてください。
Z:小学6年生のときかな。グラミー賞のハービー・ハンコックのパフォーマンスに衝撃を受けた。DJがアンテナ付いたワイヤレスヘッドホンしながらスクラッチして、後ろにいたロボットだと思ってた人形が実はブレイク・ダンサーで。そこからブレイクダンスやDJに興味を持つようになって。
――ご自身は身近な遊び場として中学生の頃から六本木のディスコなどへも頻繁に出入りされていたそうですね。
Z:当時は、ハイエナジーって呼ばれるダンスミュージックが中心だったけど、俺は最初からどっぷりヒップホップだったね。DJブース見て研究して、一日中練習していたよ。徐々にヒップホップが生活のメインになってく中で、ニューヨークに留学した友達が、最新のヒップホップ・カルチャーをテープとか情報誌に込め、たまにアメリカから届けてくれて。送られてくる小包は、俺にとっての宝箱だったね。
※このインタビューは11/22発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【Zeebra】
’71年、東京都生まれ。「KING GIDDRA」を結成。パイオニアとして日本におけるヒップホップシーンを牽引。’14年には新レーベル「GRAND MASTER」を設立。風営法改正運動や渋谷区の観光大使ナイトアンバサダーなど活動は多岐にわたる
取材・文/宮下浩純 撮影/江森康之 スタイリング/小倉正裕 ヘアメイク/木村美貴子

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