沖縄基地問題で追いつめられた翁長知事が最後の切り札を出す日
当然のことながら、県政与党の社民党や共産党などの革新各党も「よくぞ言った」というところだろう。だが、親しい地元紙記者の一人は、こう解説する。
「県政与党の革新各党の間でもこのところ、『翁長は所詮、元自民だ』という批判が上がっていました。撤回について明言しない知事に、どこかで政府とよろしくやっているんじゃないかという疑念も膨らんでいたようです。古巣の自民党と完全に切れてしまっている知事は議会運営を考えれば、革新各党の要求に抗しがたい状況になっていたはず。しかも、長期拘留されていた反対運動のリーダーの山城博治被告の保釈が認められ、メディアに盛んに取り上げられていることもプレッシャーになったのではないでしょうか」
つまり、撤回発言に踏み切ったのは、翁長知事が追い詰められている証左だというのだ。今年1月には、側近中の側近だった安慶田光男副知事が教員採用の口利き疑惑を地元紙に報じられ、辞任に追い込まれたこともあり、翁長知事の求心力は目に見えて下がっていた。
26日付の『琉球新報』が、<知事本人が「工事の入り口」(県幹部)である基地ゲート前で、改めて承認撤回という強い権限行使を表明したことで、新基地建設阻止に向けた求心力の回復を狙った形だ>といみじくも指摘したように、失われた求心力の回復のために撤回発言をしてみせたのだとすると、これこそ基地問題の政治利用だ。沖縄の基地問題迷走の愚を再び犯すことになりはしないだろうか。
取材・文/竹中明洋
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