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自衛隊は外国の攻撃から民間人を守ってくれない!? 国民を保護しないで一体何をするのか?

 先日、元幹部自衛官だったH氏と六本木から羽田まで一緒に移動する機会がありました。都営地下鉄大江戸線の六本木駅はかなり深く地下に潜っています。六本木駅は地表から42.3mだそうです。あまりに深くまで降りて行くので、少し気になって聞いてみました。 「この駅の最深部なら核兵器のシェルターに使えますか?」「ここなら使えますね」との答えが返ってきました。 「照明や水、食料といったものがあれば、いいのになー。避難しても電気途絶えるとパニックが起こりますよね」「一時的な避難に使うぐらいしか、現状では無理ですね。有事の避難場所として真剣に検討されれば変わってくるのではないですかね」とH氏は答えてくれた。  こういう日常空間での身近な避難場所についても、私たちが一つずつ考えていく必要があると思うのです。  北朝鮮のミサイルはさらに技術力を上げており、普通の軌道より高い位置から早い速度で落下する迎撃の難しいロフテッド軌道をとることも検証されました。移動式ミサイル発射台の開発なども進み、いつどこからミサイルが撃って来るかの察知しにくくなりました。自衛隊の迎撃網を超えて本土に着弾するミサイルがある場合、地下街への避難が可能かどうかを事前に検討しておくのは当然のことです。その場合は、電源や通気口、大雨時の雨水対応方法や、避難経路、脱出経路、食料備蓄など先に問題点を挙げてクリアしていくべきでしょう。避難する国民をヘリポートやバスなどの輸送拠点にどう効率よく集め、前線から引き上げるか。平時では困らない食料や燃料などの調達・輸送方法も考えておいた方がいいでしょう。備えあれば憂いなし、いざ起こってからでは遅いのです。  また、自衛隊員はほかの公務員と違い、50代で退官年齢になります。50代でその状況では退職後の自衛官の生活は大変でしょう。そこで、これまで災害派遣や救助で具体的に現場を経験してきた自衛官を、地方自治体のリスク担当に再雇用すれば民間人が知らない有事の対処が可能になります。  戦後、我が国は官民ともに他国からの侵略時に国民をどう保護するのか考えることなく過ごしましたもう見て見ないふりはできない段階に来たのです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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