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ニューヒロイン登場でメダルの期待が高まる「ウィルチェアーラグビー」とは?

~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第47回~  フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。  先日、2020年東京五輪で採用される新種目が発表されました。キーワードとなるのは「男女混合」。女性アスリートの参画を促そうというIOCの大方針を受けて、「卓球・男女混合ダブルス」「柔道・男女混合団体」「陸上・男女混合4×400メートルリレー」など多くの男女混合種目が追加されました。  これは日本においてもうれしい話。世界ではまだまだ女性がスポーツをしていられないような国もある中で、日本の女性たちの強さを活かせるのですから。サッカーで世界一になったのはなでしこジャパン、東洋の魔女ももちろん女性、バスケやホッケーで五輪に出ているのは近年は女子代表だけ。団体競技で見られる「日本女子>日本男子」の構図が、男女混合種目での後押しとなるのではないか。そんな期待感も生まれます。  そんな中、一歩先行する形で男女混合化……というか男女の区別なく行なわれる競技はパラリンピックのほうには数多くあります。そのひとつがウィルチェアーラグビー。車イスに乗って行なうラグビーのようなこの競技には、身体の不自由の程度による区別こそあるものの、男女の区別はありません。

ウィルチェアーラグビーの世界トップレベルが集う大会へ

 今回はリオパラリンピックで銅メダルを獲得したウィルチェアーラグビー日本代表の戦いを見るため、千葉ポートアリーナへと行ってまいりました。こちらで行なわれたのはジャパンパラ競技大会の一環として行なわれたウィルチェアーラグビーの国際大会。リオ五輪で銅メダルの日本代表と、リオで金・銀のオーストラリア代表・アメリカ代表が集まった、掛け値なしの世界一決定戦です。千葉の片隅で世界の覇権が争われるという燃えるシチュエーションに、ワクワクしながらの物見遊山です。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1355013

世界のトップが激突! 看板に並ぶ一流企業の名前が大会の重みを感じさせる

これがメダル効果か! 思った以上の客足

 固定座席4380席のメインアリーナの半分を使用し、半分くらい座席が埋まっている感触。1000人くらいはいたでしょうか。パラリンピック競技ということを考えると異常な多さと言える大観衆です。入場無料ということもありますが、やはりそれ以上に日本代表への期待の大きさというものが感じられます。観衆は入口で配られたスティックバルーンを鳴らし、幕間には選手たちに群がって写真撮影にいそしんでいます。盛り上がっています!

パンフレット、ルール解説の冊子、スティックバルーン、新聞の号外などが配布される異例の手厚さ

 ウィルチェアーラグビーは1チーム4人で行なわれる競技。出場選手にはそれぞれ身体の不自由さによってポイントが割り振られています。0.5点~3.5点までの0.5点刻みの7段階で、不自由さが増すほどに持ち点が少なくて済むという仕組みです。  たとえば上半身が自在に使える選手は3.5点、腕のチカラだけで車イスを動かせる程度に上半身が使えてターンなども自由にできる選手は2.0点、ボールのキャッチやパスにも難があるくらいの不自由さの選手は0.5点。その合計が8.0点以内となるようにチームを編成します。3.5点+2.0点+2.0点+0.5点=8.0点であるとか、3.5点+3.5点+0.5点+0.5点=8.0点といった具合です。  しかし、ここで男女混合ならではの優位性というものがあります。チームに女子選手が含まれる場合は、0.5点の追加ポイントが得られるのです。たとえばチームの1人が女子選手だった場合は、追加ポイントと合わせて合計8.5点での編成ができ、それだけ自由に動ける度合いが増していくわけです。
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東京五輪期待のニューヒロインも登場
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