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自己資金2万5000円で30億円を集めたファンド社長が語る「人からカネを集める5つのテクニック」

3:「きれいごと」をバカにするな!

→「世界から貧困をなくしたい」  特に大きなお金が動くときは、お金を出してもらう「キレイな理由」の説明が必要である。  そもそも、個人投資家はお金をすでに持っている人たち。単にお金を増やすだけでは満足できない人も多い。また、法人投資家でも日本社会では投資をすべき“建前”を大切にするものだ。  その時に求められるのは、言うまでもなく事業ビジョンという「きれいごと」である。 「世界から貧困をなくしたい」 「出産を迷っている女性が躊躇なく子供を生める社会にしたい」 「世界中の人を健康にしたい」 「病気になる子供たちを減らしたい」  といった「きれいごと」(=社会的意義)を掲げることは、事業を推進していくための強い原動力となる。理念のもとで人は動くし、それが自社サービスのブランド構築にも繋がるからだ。  2000年代に入り、NPOのような社会的意義を持つ事業に携わりたがる若者が珍しくなくなり、また社会起業家という言葉が登場して久しい。  社会問題と事業をリンクさせ、自社のサービスが社会変革を掲げるというビジョンを強調することは、当然、従業員や取引先の満足度を高め、事業の成功確率を上げることにつながりやすい。また、それを理解している投資家の心を動かしやすい。自社のサービスに必ず大きな「きれいごと」を入れるのも一つのテクニックだ。

4:「売上ミサイル」の発射角度を見せよ

→局地的なプレマーケティングの成果を入れる  投資を決めるプレゼンをする上で大事なのは、その中身はもちろん、プレゼンをする時期である。  出資を募るプレゼンに最適な時期は、ミサイルの発射台で表現すれば、発射角度が見えた瞬間である。  たとえば、あるWEBサービスを全国で展開したいときを考えてみよう。まったく事業を始める前ではなく、局地的なプレマーケティングでよいので、デイリーの集客や購入単価がわっている時期にプレゼンをしよう。この時期ならば、投資家には「発射角度」を見せることができる。 「現在、弊社のサービスは千葉県エリア限定で三ヶ月間でこれだけの集客があり、売上が◯千万円あります」と説明すれば、投資家は今後どれだけ成長していくのかが計算できるわけである。

5:AI、フィンテック、VR……バズワードを絡めよ

→投資家は「美人投票」をしている  バズワード(=流行りのビジネス単語)が事業にからんでいると出資を受けやすい。  なぜか。それは投資を行うベンチャーキャピタルが資金を集める上で、今後5年、10年で流行るであろうバズワードを自社の投資家に説明してカネを集めているケースが多いからだ。当然、そうしたベンチャーキャピタルの投資先はその説明に合った会社に行われる。  今一番わかりやすいバズワードのは、フィンテックやヘルステックなどのテック系ビジネスの用語。  たとえば、今フィンテックファンドとして日本最大のファンドを有しているSBIインベストメント。同社は10年以上前から「ネットと金融の融合」という言葉を使っていた。  だが、それはSBIグループとしてのIRでは評価されていたものの、ベンチャー投資としてそこまで評価されていなかった。しかし、近年フィインテックというバズワードが登場したことによって、フィンテック最大の企業であるSBIは、300億円ものファンドを設立するに至ったのである。  これは、バズワードが多くのカネを集めた典型的な事例と言える。  このように、ベンチャー投資の領域でも、「なんだかよくわからないけど、みんなが投資するものに投資をしていく」という「美人投票」のような現象が見られる。  あなたの事業に関連するならば、プレゼンの際はバズワードを入れてみてほしい。 【三戸政和】 日本創生投資代表取締役CEO。日本最大級のベンチャーキャピタル、ソフトバンク・インベストメントにて、国内外の投資先に経営参画しながら、成長戦略、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行う。その後、兵庫県議会議員を経て現職。同志社大学卒業。
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