更新日:2022年09月25日 10:42
カーライフ

官僚もビックリ! トンネルを抜けた先の異空間のごときループに日本の道路行政の闇を見た

 蛇洞林道と国道152号線との交差点のすぐ先に、三遠南信道が4.8kmだけ完成している。全長約4.2kmの矢筈トンネルを抜けると、深い谷に喬木(たかぎ)インターのループが現れる。

矢筈トンネル

 三遠南信道は、高速道路といっても対向2車線。国道バイパス程度の道路構造だが、法的にも「国道474号線」という扱いで、料金は無料。ただ、蛇洞林道を抜けるといきなり道路が立派なド直線になり、トンネルを抜けた先には異空間のごときループが待っているので、「すごいものを見た!」という感動で胸がいっぱいになる。そこから先は再びクネクネした山間の県道になるのだからシュールすぎる。  喬木インターから西、中央道の飯田山本インターまでは、「飯喬道路」という区間名で、全体の約7割の区間で建設が進んでいる。全線開通は未定ながら、いずれは矢筈トンネルも中央道とつながるはず。しかしこれが完成したのは23年前の1994年だ。いったいなぜここだけ23年も前に建設したのか? なぜ? どうして?

喬木インター のループ

 それに答えてくれる人は誰もいない。まさに計画性・効率性皆無の公共事業の見本。かつての日本の道路行政の深い闇を思わずにはいられない。  筆者は17年ほど前、日本道路公団を取材した際、雑談の中で、建設省から出向中の職員に「ここ、すごいですよ」と教えてもらっていた。まさに官僚もビックリの異空間である。いずれにせよ、このループはすでに23年間、この山奥でひっそりとその威容を誇っていたのだ。交通量はそれなりにあり、まったく役に立っていないわけではないが……。(つづく) 取材・文・写真/清水草一(道路交通ジャーナリスト) 【清水草一】 1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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