更新日:2017年11月15日 17:44
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「葬儀会館建設の反対運動」が成功しない理由

資本主義の原理に任せておく

 一番良い方法は反対運動などしないで資本主義の原理に任せておくことです。葬儀会館が存在し続けるためには何が必要でしょうか。地元の住民に利用してもらうことです。つまり、地元の住民が必要だと考えるならその葬儀会館は存在し続けます。地元の住民が必要ない、もしくは存在自体を認めないと判断すれば、その葬儀会館は収入が得られずになくなってしまうでしょう。  ただそれだけの話です。  しかし、最近は一部の住民が地方議員を巻き込んで条例を作らせて、葬儀会館設立のハードルを上げる手法も散見されるようになりました。  ただ、葬儀会館は日本全国で飽和状態になりつつあります。そのためいわゆる居抜きで運営母体が変わるだけというケースが増えていくと思われます。  今後はおそらく反対運動は減少していくでしょう。  一方、深刻な問題になっているのは火葬場です。火葬場は自治体が建設する場合がほとんどです。そして自治体は法律を盾に強行することをためらいます。その結果、今後死亡者が年々増えていくにも関わらず火葬場の増設ができないという問題が発生しています。  もしかすると皆さんのお住まいの地域の火葬場はとても辺鄙(へんぴ)な場所に作られているかもしれません。それは住民感情をおもんぱかった結果なのです  これまで述べてきた「いざという時になったら使わせろ、でも自宅の近くに作るのは許さない」という住民心理はNIMBY(Not In My Back Yard 自分の家の裏だけは御免)シンドロームと言われます。  将来の火葬場不足を心配する声は多いのですが、皮肉な言い方をさせてもらえば、火葬場不足は「民意」の結果なのです。 【赤城啓昭】 月間45万PVの「考える葬儀屋さんのブログ」管理人。現役の葬儀屋で、1000件以上の葬儀を担当。お葬式の担当のかたわら、葬儀業界のマーケティング分析、セミナー・企業研修・大学・専門学校での講演活動、エンディングノートの制作なども行う。ブログの内容をもとに、新たに約7割を書き下ろした初の著書『子供に迷惑をかけないお葬式の教科書』(扶桑社新書)が好評発売中 <文/赤城啓昭>
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子供に迷惑をかけないお葬式の教科書

20年間に渡る実務で蓄積された知識と、とり行ってきた葬儀セミナーの内容が盛りだくさん

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