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犬型ロボット「AIBO」のお葬式で100台供養――「弔いたい」と思うのは日本人なら当然の感情!?

 意外と知らない通夜やお葬式でのマナー、業界の裏事情を綴った今、注目のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」。7月2日には、同サイトの管理人・赤城啓昭氏による、初の著書『子供に迷惑をかけないお葬式の教科書』が発売決定。人気連載の第16回は、今話題の“あれ”のお葬式についてです。

ペット葬儀とモノ供養の側面

犬型ロボット「AIBO」のお葬式が日本人に好まれる理由 「考える葬儀屋さんのブログ」管理人の赤城啓昭と申します。  SONYが製造した犬型ロボット「AIBO」(アイボ)のお葬式が、今年6月に千葉県のお寺で行われたようです。朝日新聞の報道によれば、AIBOは2016年までおよそ15万台が製造されており、今回修理不可能な100台が「供養」されたとのこと。  私が面白いと思ったのは、この葬儀がペット葬儀とモノ供養の両方の側面を持っている点です。  現在の日本では、ペットを家族の一員と考え手厚く葬る方が増えてきています。Amazonや楽天ではペットのためのカラフルな棺が販売されています。  都内の火葬場の一つである戸田斎場には、ペット専用の火葬棟が併設されています。そして、飼い主とペットが一緒に入れるお墓も登場しています。  また、日本ではモノには魂が宿るという思想があります。  民間伝承には、モノが魂を宿して妖怪になった話が多く見られます。例えば古ぼけた傘や提灯が妖怪になっているケースです。  モノに魂があると考える日本人が、モノがより人間に近づいた存在であるロボットに対して、魂を持っていると感じるのはむしろ自然なことでしょう。  日本人のロボットへの心情の原点は、もしかすると手塚治虫の鉄腕アトムにあるのかもしれません。ロボットと人間を同等に扱うという感覚です。鉄腕アトムを原作とする浦沢直樹の漫画『PLUTO』でもロボットの死を悲しむというシーンが出てきます。映画監督の押井守による映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』はロボットがゴースト、つまり魂を持つというのがテーマでした。  このモノに対する畏れや愛情のためでしょうか、日本には寿命を終えたモノを供養するという習慣が残っています。有名なところでは、使えなくなった針を供養する針供養などです。日本人にとってモノを手厚く葬るというのは極めて自然な行為なのです。  このような背景を考えると今回のようにペットであり、かつロボットであるAIBOを弔いたいと思う心情はむしろ当然と言えるでしょう。  私も葬儀屋さんという仕事柄、似たような現場に立ち会ったことがあります。
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プロの葬儀屋さんが目撃した現場とは…?
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