GKB47の「B」と「47」は難解すぎません?
―[山田ゴメス]―
ベテランライターが原点回帰のドサまわり。独断と偏見で選んだ、巷をにぎわすニュースを猛追跡!
【記者・ゴメスが追う 第9回】
私事だが、僕のマスコミ人としての一日は、朝、虎キチのバイブル・デイリースポーツをコンビニで購入して、近所のドトールコーヒーかサンマルクカフェで情報収集に勤しむことから始まる。そんな折、1月24日付けのデイリースポーツ社会芸能欄に、こんな記事があった。
「自殺防止にGKB47!?」
「有識者から異論も“採用”へ」
また新しいユニットが、どっかの地方から?……ってことでもなさそうだ。さっぱり意味がわからない。内容がまったく読めないのでリード文をなぞってみると……。
「内閣府自殺対策推進室が3月の対策強化月間で使うキャッチフレーズを、人気アイドルグループAKB48をもじって『あなたもGKB47宣言!』とした」
とある。これでもまだ内容がいまいち分からないので、次に本文を熟読してみると……、コイツがまた、あまりに強引すぎるのだ。
◆「GK」「B」「47」の意味を紐解いてみると……?
まず、「GK」。これは、悩んでいる人を見守り自殺を思いとどまらせる医師である「ゲート・キーパー」を指すらしい。なるほど……まあ納得だ。でも、次からがいただけない。絶望的に取ってつけちゃっているのである。
お次の「B」は、ゲート・キーパーの役割を幅広く国民各層に知ってほしいとの願いを込めた「ベーシック」の頭文字。
さらに「47」は、自殺対策の取り組みを全国に広げたいとの願いを込めて「47都道府県」を表現しているのだという。まことにもって難解だ。
◆ピントのズレた委員からの反対意見
内閣府が推進会議で説明したところ、委員から「自殺対策は重いテーマだ。違和感がある」と反対意見が続出したという。
これに対し内閣府側は「(自殺対策に)関心の薄い一般国民向けには分かりやすさも必要だ」と理解を求めたため、それ以上の反発もなく、「GKB47」はそのまま採用され、今年3月からポスターや電車の中吊り広告などで使われるらしい。
僕個人としては、自殺防止の促進に、このような軽薄なキャッチフレーズを使うこと自体、悪いとは思わない。はっきり言ってしまえば、どうでもいい。
むしろ問題にすべきなのは、この語呂合わせには相当の無理があるという点に尽きるのではないか?
特に「B」と「47」(笑)。とりあえず記事を読み終えたうえでは、なんとか頭で理解はできたけど……、反論を唱えた委員の皆様とは異なった違和感が頭から離れないのは僕だけだろうか?「GKB47」の、真の崇高な意味を国民に知ってもらうには、このキャッチフレーズの下に、けっこうな量の文字数を使ったキャプション(説明書き)も必要だと思うのだ。
そういえば本家のAKB48は、東京都の「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」(通称、ネカフェ条例)の宣伝ポスターに登場していた。こんなまどろっこしいことをするくらいなら、いっそ本家に一肌脱いでもらったほうがいいような気さえする(本家内諾済みとの報道もあるようだが)。
あと、「KGB」みたいで、少しおっかなくもある……と、思いません?

―[山田ゴメス]―
大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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