更新日:2017年08月23日 20:30
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湘南海岸の砂浜が消滅の危機! 30年で40億円をかけるも、効果出ず…

ダム堆砂量に比べて圧倒的に足りない「養浜」

 しかし、相模川水系のダム6基の堆砂量は3801万立方メートル。100年で貯まる計画だった2344万立方メートルを半分の期間で超えた。養浜量はその3%にすぎない。 「茅ヶ崎海岸は相模川の土砂で形成されていますが、相模ダムや宮ヶ瀬ダムなどによって、土砂の供給が減っているのです」(前出の砂防海岸課)
相模川のダム群の堆砂量

神奈川県・国交省「相模川・川づくりのための土砂環境整備検討会」資料より作成

 さらに’64年の東京五輪に向けた首都圏の建設ラッシュで、相模川流域の河原から砂利が建設資材として採取された。’64年に採取禁止となるまでに、2800万立方メートルに達したと国と県は推定する。  ダムの堆砂量と合わせれば東京ドーム(124万立方メートル)53杯分。その分の土砂が流れてこなかったことになる(相模川水系はそれに加えて葛野川ダム、大野ダムのほか、山梨県421基、神奈川県285基の砂防ダムもあり、それらの土砂はこの計算には入っていない)。  菱沼海岸では2年前に「粒径の大きい砂利を混ぜることで定着し、その隙間に砂が乗っかっていくことで砂浜が回復していく」という目論見で「養浜」を行ったが、土嚢は破れ、砂浜はえぐり取られていた。その効果は無に等しいと言わざるを得ない。
2015年3月1日茅ヶ崎(菱沼海岸)

2年前(この写真)に粒径の大きい砂利を混ぜるために積まれた土嚢だ現在は破れて現在(1枚目写真)の姿に…

 相模川では国と県が「土砂環境整備検討会」を開催。’15年2月に「相模川流砂系総合土砂管理計画(案)」が審議されたが、完成版からは各ダムの堆砂量が削除されていた。ダムで国土が消失しているという意識は薄いようだ。このままでは、湘南海岸から砂浜がなくなるのは時間の問題だ。 ― 日本から砂浜の9割が消える! ―
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