世界初の都市高速・首都高は醜いのか? 首都高C1日本橋付近地下化のメリットとデメリットを考える
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
国交省はこの7月、首都高C1日本橋付近の地下化に取り組むことを発表した。まだ決定ではないが、「国、東京都、首都高速道路(株)は共同で、日本橋周辺のまちづくりと連携して首都高の地下化に向けて取り組んでいくこととし、今後、関係者で計画案(線形や構造、対象区間など)について検討していきます」とされている。
もともとこの付近(竹橋JCT-江戸橋JCT間2.9km)は、C1でも最も交通量が多い区間で、そのぶん老朽化も激しく、大規模更新すなわち造り直し工事が行われることが決定していた。ただ、当初の予定は現状と同じ高架構造。つまり日本橋川の上に首都高が走る形のままが想定されていたが、今回の発表では、日本橋周辺の都市再開発に合わせて、それを地下化する、と変更されたわけだ。
高架構造のままの造り直しの場合、費用は1412億円(予定)。地下化のほうはまだ算出されていないが、11年前の『日本橋川に空を取り戻す会』の試算では約4000~5000億円。現在は資材や人件費が高騰しているため、これを大きく超えることは確実だ。
しかし、国交省がこのような指針を示した以上、地下化の流れはもはや変わらないだろう。
首都高研究家として、日本橋付近の首都高の地下化に大反対というわけではないが、メリットに対してデメリットが大きいということは指摘しておきたい。つまり、費用の割に果実は少ない。地下化がもたらすメリットは、①景観の改善と、②造り直し期間中の渋滞の緩和。この2点に絞られる。
高架構造のままの造り直し工事は、内回り・外回りを順番に取り壊して建設し直す形にならざるを得ないため、数年間にわたってこの区間が片側1車線になる。よって工事は、外環道東京都区間が完成し、三環状の整備が終わってからが想定されていた。
しかし地下化の場合、別に路線を建設することになるので、車線規制が必要な期間を大幅に短縮できる。東横線や小田急線の一部地下化の際は、ひと晩で線路を切り替えたが、それに近いことも夢ではない。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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